行政視察2日目 | 栗原もとき オフィシャルブログ Powered by Ameba
本日の行政視察2日目は兵庫県豊岡市へ。
この豊岡市は野田市も進めているコウノトリの野生復帰で成功した自治体です。


このコウノトリですが、国の特別天然記念物であり、かつては日本中に広く生息し繁殖していましたが、昭和46年に野生下では姿を消してしまいました。兵庫県教育委員会では県鳥でもあるコウノトリの日本最後の生息地となった但馬地域・豊岡市において、昭和40年に人工飼育を開始するなど、文化庁の多大な援助を受けながら、長年にわたりコウノトリの保護・増殖に努めてきた経緯があります。








その後、飼育下のコウノトリの死亡や産卵からふ化の難しさなど、苦難の時代をを乗り越え、ロシアから寄贈されたコウノトリのつがいが平成元年に飼育下繁殖に成功して以来、毎年、増殖に成功し、現在は約100羽前後のコウノトリを飼育するまでに。平成17年からは放鳥が開始され、平成19年には43年ぶりに野生下でヒナが誕生。そして、平成24年には野生生まれの両親から雛が誕生。


平成11年に設立された、兵庫県立コウノトリの郷公園で飼育を行い、コウノトリと共生できる環境が人にとっても安全で安心できる豊かな環境であるとの視点に立って、人とコウノトリが共生できる環境と学習の場を提供することを目的とし、その目的を達成するために、「コウノトリの種の保存と遺伝的管理」、「野生化に向けての科学的研究および実験的試み」、「人と自然の共生できる自然環境の創造に向けての普及啓発」の3点を基本方針に位置づけ、コウノトリの保護・飼育・増殖・野生化に向けての研究、環境づくりなど多様な事業に取組んできたのが今回視察した豊岡市です。


また、郷公園周辺に広がる水田では「コウノトリ育む農法」として無農薬・減農薬栽培への転換に取り組むなど、地域と連携しコウノトリとの共生可能な地域づくりに取組、円山川水系の自然再生整備や営巣木となるマツ林の育成なども行われ、野生復帰のための環境づくりは地域をあげての取組みとなっています。


現在までの取組を豊岡市コウノトリ共生部コウノトリ共生課の職員の方に話を聞きながら、兵庫県立コウノトリ郷公園内も合わせて現地視察。研修で見せて頂いた豊岡市にコウノトリが野生に帰るまでのストーリをまとめたNHKと共同して制作した映像には、とても感動しこうしたセールスプロモーションの重要性も痛感させられた次第です。


コウノトリ郷公園



研修風景



館内



入館は無料のため寄付金を募っている



館内内部



館内内部からの見えるコウノトリ飼育場



館内を出るとすぐにコウノトリの飼育場



飼育場前には実寸のコウノトリの巣も



飼育場前で意見交換



視察した議員全員で記念撮影



今では観光名所となっていることから、年間30万人の観光客が訪れ、2009年に市内の経済効果の試算額は10億円です!


平成12年から始まったコウノトリへの寄附金に至っては、現在まで5,000万円になり、平成18年に設置された公園内に隣接する物産展「コウノトリ本舗」では、コウノトリの関連グッズをはじめ、菓子、陶器、お酒などあらゆるものにコウノトリを絡めた商品販売や市内のゆるキャラグッズなどを展開し、3年前から黒字化へ。


コウノトリ本舗






店の前にはモニュメント



この物産展は民間の17企業が出資して株式会社として運営。市や市長が会社に出資するなどは一切なく、植木屋や電機屋など地域の企業が想いに賛同して集まり設立。現在黒字化され出た利益は出資者に配当されているが、その配当金からもコウノトリへの寄付金に充てたり、物産展に展示してある商品が売れればその内数%が寄付金に行くシステムなどを展開し、WIN-WINの関係性を維持しながら経営しているとの事。


コウノトリを絡めた商品


















現在、野田市でも、豊岡市と同様にりコウノトリの野生復帰と合わせて農業へも注力していますが、西の豊岡市、東の野田市というコウノトリブランドの確立ができるのか?


現在の野田市の取組では、観光、農業なども含め、ブランド確立が中々できていない現状であると考えていますし、もっともっと戦略的ブランディングや広報も必要なはずで、野田市は醤油という代名詞がありますが、コウノトリの事業を展開していくのであれば、それにならぶほどのブランド力に育てて行く事も重要です。


コウノトリに関してではありませんが、野田市の政策や産物など市が展開している事業にマーケティングや戦略的広報が必要と6月、9月議会の一般質問で私は訴えてきました。コウノトリの事業に関してもその必要性はあります。


また住民の方からの賛同も得られていない部分もまだまだ多く、コウノトリの部分だけではなく、生物多様性やこの事業を進める事で、将来に起こり得る可能性など先を見据えたストーリーを展開し、市民の方の賛同を得て、行政、市民、千葉県と一体となってセールスしていかなければ行けないと、豊岡市を視察して考えさせられるほど、豊岡市でのコウノトリの取組は素晴らしいものでした。


そして豊岡市の職員が「関東でもし豊岡市のようにコウノトリの飼育が成功し、生物多様性地域がなされ、観光、農業などの産業も相乗効果を図る事が出来たならば、豊岡市にとって脅威になる存在」と仰っていたことを考えると、十分に可能性を秘めた事業であると考える事もできます。

しかし、豊岡市でも平成14年にコウノトリ共生課を設置し、現在に至るまでに10年以上と長い年月が費やされてきた結晶です。野田市でも、行政が打ち出す方向性や政策など、私達議員がしっかりと監視し、市民の方々と飛躍できる事業に長期的に育てて行く事も大切です。



豊岡市の今後の戦略的取組












コウノトリ事業に関しての課題はまだまだありますが、可能性を感じさせられる2日目の視察でございました。