呪怨 -終わりの始まり- | KURI of the DEAD

呪怨 -終わりの始まり-

口コミでその恐怖が話題となり、ハリウッドでもリメイクされるなど世界的にも注目を集めた『呪怨』の新シリーズ。監督は『感染』『シャッター』の落合正幸、主演は佐々木希。

 

【STORY】

欠員が出たため急遽小学校の担任を務めることになった結衣。そのクラスには不登校の佐伯俊雄がいた。結衣は俊雄の自宅を訪れるが、その日以来不可思議な現象に悩まされていた。俊雄の家はかつて凄惨な事件が起きており、足を踏み入れた者は不可解な死を遂げていた…。

 

【REVIEW】

日本の夏、金鳥の夏、怪談の夏・・・。(←毎年言ってる)

ということで8月も終わりに近づいたが、日本の幽霊モノ作品。

 

ハリウッドでもリメイクされた『呪怨』の新シリーズである。劇場版では3作目、ビデオ版・番外編を合わせると7作目となる。なかなか息が長い。

新シリーズといっても、オリジナルの流れを焼き直し、新たな設定を追加した、今風にいうとリブートというやつである。

 

ストーリーは、オリジナルと同じく一人ひとりのエピソード(タイトル)で区切られるオムニバス形式。そしてこれまた同じく時系列をバラバラにして、ラストにつなげていく手法である。今回はこの手法にひとつの仕掛けが用意されているのである。

 

冒頭。虐待の疑惑がある家に、警察や役所の児童福祉担当。家の中はゴミが散乱。押入の中で男の子の死体を発見。死後数日経過。そして記録用のビデオには、白バージョンの「俊雄」の姿・・・。

 

<結衣>

佐々木希演じる教師の結衣は、辞職した前任の代わりに急遽、小学校3年生の担任を務めることに。クラス担任になることが目標だった結衣は大喜び。うれしくて彼に電話する。ちなみにこの彼は、渡部ではない。直人という映画の脚本家で同棲しているようである。ちっ。

 

担任初日。出席簿を見ると佐伯俊雄という生徒が1週間欠席していた。自宅に電話しても誰も出ない。前任者の作成した日誌を見ると、俊雄の家に行っているようである。なぜ俊雄は登校しないのか?

 

<七海>

トリンドル玲奈演じるJK七海。悪ふざけが過ぎる友人が七海を怖がらせようと、計4人で例の家に。七海は何かを感じ1人で2階へ。残り3人はキッチンで不気味な3枚の絵を発見する。それは子どもが描いた絵で、各々1人ずつ人間が描かれていた。

七海は子どもの鼻歌のような声を聞き、和室へ入る。そこには子どもの姿。畳の下から黒ずんだ液体が湧き出し、押入の戸がガタガタ鳴りはじめ、逃げる七海であった。

 

<伽椰子>

結衣、俊雄の家へ。2階に子どもの姿が一瞬見える。玄関に入ると女性が現れる。伽椰子である。伽椰子は俊雄はいないと告げて奥に引っ込むが、2階から子どもの鼻歌。2階へ上がってみる結衣。例の和室は四方をガムテープで固定されていた。鼻歌はそこから聞こえるようで、ガムテープを剥がす結衣。中へ入ると押入の戸もガムテープ。徹底している。しかしそこに伽椰子が現れ、お茶が入ったから下に来いといわれるのであった。

1階で待っていた伽椰子は同じ鼻歌を歌っている。結衣が覗き込むと、どえらい顔で睨みつけている伽椰子。世に言う伽椰子睨みである。そしてなぜかノートに無数のうずまき模様を描いていた。

 

<弥生>

JK。七海の友人。体育館でバスケットボールの練習中、ステージ裏に人の気配。行ってみると置いてあったピアノが鳴り出し、何かに足を掴まれる。逃げる弥生。保健室に入りベッドに潜り込むが、布団の中から例の家で見つけた子どもの絵。そして俊雄がこんにちはのお約束。下の方に引きずり込まれてしまうのであった。

 

一方、俊雄のことで悩む結衣。さらに前任者が今朝亡くなったことを知らされる。再び前任者の日誌を読む。しかし最終ページにうずまき模様。そこから何ページもわたって。

翌朝、ブルーに出勤。しかし俊雄が出校していた。安心したのも束の間、授業中に俊雄は教科書も開かず机を爪でうずまき模様に削り続けている。

結衣は注意しようと腕を掴むが、次の瞬間俊雄の姿はなかったのである。唖然と見守る他の生徒たち。

 

<莉奈>

JK。七海の友人。悪ふざけした1人。例の家へ行って以来、様子がおかしいらしく、七海ともう1人の悪ふざけJK葵が莉奈の家へ。

莉奈は自室の机の下に隠れていた。とにかく白い子どもが来ると訴え続ける。するとテープで塞いでいたタンスや化粧台の引き出しの隙間から俊雄の顔。あまりの取り乱しぶりに怖くなって返る2人。

その後、莉奈は唐突にキッチンで温かいものを飲もうとやかんに火をかける。すると蒸気が莉奈に襲いかかり、顔を大火傷。例の家の子どもが描いた絵のような姿に。そして冷蔵庫が開き、白い手が出てきて引きずり込まれるのであった。火傷の顔を冷やしてくれるのかと思ったら、違うようである。

 

一方、結衣は職員室でテストの採点中。疲労のせいか居眠り。ふと目を覚ますと、外に伽椰子らしき人影。廊下を奥へと歩いて行く。結衣が呼び止めるも無視。追いかけて教室へ入るがそこには誰もいない。とある机の上には分厚いノートが置かれていた。手にとって読みはじめる結衣。

 

夜、直人が帰宅すると窓辺に立ち尽くす結衣の姿が。結衣は窓にうずまき模様を描き始める。そして気絶。直人がベッドに寝かしつける。何が起きたのかと思う直人。結衣のカバンから例のノートを発見。それは伽椰子の日記だった。日記には伽椰子が結婚して子どもを授かることを熱望している内容だった。なかなか妊娠しないようで、思い悩んでいる。そして日を追う毎に、その想いが狂気に変わっていく。呪文のようなものも記されており、お札のようなものも貼られている。ついには、子どもができないのは夫のせいだと怨み節。ひたすら子どもという字を羅列したページもあり、もはや正気ではない。

しかしある日、とうとう子どもを授かったようである。夫の知らないうちに・・・。

直人はその内容に驚愕するのであった。

 

<葵>

JK。七海の友人。悪ふざけした1人。自宅でお風呂へ。鏡に向かって例の家へ行ったことへの後悔節。しかし鏡に映る自分に白い手が下から忍び寄る。その手はアゴを掴み真下へガクーン。悲鳴を聞いた姉が駆け付けると、風呂場にはアゴだけが落ちていた。これでJKアウト3人目。

ちなみにこの姉とその夫は不動産業者であり、例の家を佐伯家に売った張本人たちである。

 

一方、七海。電車の中。ふと遠くを見ると、莉奈と葵らしき姿。声をかけると振り返る2人。しかし2人は、殺された状態の無残な姿。驚いて逃げると、天井になぜか巨大な弥生の姿。悲鳴。気がつくとなぜか例の家の階段で倒れている。そして見えない力に引っぱられたり、持ち上げられたり。最後にどこかに引きずり込まれてしまうのであった。

 

直後にその家(売物件)に下見に来る佐伯家。伽椰子である。

そう。今回は女子高生がやられてから、佐伯家がこの家を買うのである。すでに曰く付き。では、その前に現れた白い少年は?

 

<直人>

伽椰子の日記を見た直人は例の家へ行ってみる。家の玄関が開きっぱなしなのを不審に思い、不動産屋に行き問い詰める。不動産屋(葵の義兄)は、おかしいのは佐伯家ではなく、あの家であると答える。

あの家は、19年前に子どもが置き去りにされて死んでいる。そして10年前、妻と妹があの家に入って死んだ。妻とは葵の姉のことである。姉は佐伯家に物件を案内したときにあの家に入っている。

直人は図書館へ行き、過去の新聞を調べる。19年前に死んだ子どもは、山賀俊雄。佐伯ではない。ちなみに両親は行方不明。

 

直人、帰宅。ベッドで寝ている結衣。結衣の持っているクラス写真と持ち帰った新聞をスキャン。そして判明したのが、山賀俊雄と佐伯俊雄の顔はまったく同じということだった。どういうことか?

真相が判明しそうなところで、直人に伽椰子の手が忍び寄る。首を回転させられてアウト。起きてきた結衣が発見して号泣。

 

<俊雄>

結衣、再び例の家へ。決着をつけるときか。それに答えるように開く玄関のドア。2階の和室へ。押入はガムテープで固定。一気に剥がして戸を開く結衣。段ボール箱を発見。中身はアルバムで、写真に写る伽椰子や俊雄の顔にひっかき傷。そしてアルバムの下にビデオテープを発見。1階のリビングで再生してみる結衣。

俊雄が産まれてうれしそうな佐伯家の映像。しかし時間が経つにつれ、子どもが父親に懐いていない様子が映し出される。子どもは本能で父親ではないと悟った、とでもいうのだろうか。

さらには、例の和室で寝ている伽椰子の映像。押入が開いて子どもが出てくる。伽椰子を見下ろす。伽椰子のお腹に手を当て、お母さんと呟く。

どうやらこれで伽椰子は妊娠したようである。

 

結衣が後ろを振り返ると、伽椰子と夫のイザコザが立体ホログラムのように再現される。誰の子かと問い詰める夫。伽椰子は私だけの子と答える。激怒した夫は伽椰子を手にかけるのであった。それを見ていた俊雄と飼い猫。夫は、まずは猫を電子レンジに放り込んでアウトに。そして俊雄に向けて包丁を振りかざすのであった。

 

そんな顛末を見せられた結衣。押入から屋根裏に上がってみる。予想していたのかどうなのか、そこには無残な姿の伽椰子の死体。突如目を開き、例の四つん這いムーブ。逃げる結衣。追いかける伽椰子。しまいには俊雄白バージョンが挟み打ち。お母さんとつぶやかれ、体内に何か入った模様。絶体絶命で気づくと自宅のベッド。夢だった?

 

部屋の外から直人の声。直友生きている?リビングへ向かう結衣。

しかし、首が捻れたままの直人が、伽椰子と同じ声を出しながら近づいて来たのであった。キッチンには俊雄白バージョンの姿。絶望感満載の表情の結衣。おしまい。

 

時系列がややこしいが、19年前に死んだのは山賀俊雄。これにより呪い発動でJKがアウト。直後に佐伯家が越してきて伽椰子の腹に俊雄がインストール。俊雄が産まれるが、伽椰子が殺され、再び俊雄の呪い発動。

これが、今回のトリックというか、オリジナルと逆の流れで観る側を驚かせる仕掛けである。

オリジナルは伽椰子主体の呪いであったが、この作品は俊雄主体の呪いといったところである。

 

とはいえ、家にまつわる呪いに変わりはなく、個人的にはふーんという感じであった。

また、これまで伽椰子を演じてきた藤貴子が降板しているのが少し残念である。

 

 

●関連作品・記事

呪怨
呪怨2
THE JUON/呪怨
呪怨 パンデミック
呪怨 ザ・グラッジ3

 

 

【MARKING】

オススメ度:★★★★★5

えげつない度:★★★★4

ずっとパンイチの方が児童虐待度:★★★★★★★★8

禍々しい度:★★★★★5

 

【INFORMATION】

・製作年:2014年

・製作国:日本

・監督:落合正幸

・エグゼクティブプロデューサー:田中順、今山武成、百武弘二、久保忠佳、鶴谷誠

・プロデューサー:山口敏功、平田樹彦

・脚本:落合正幸、一瀬隆重

・出演:佐々木希、宮越直人、トリンドル玲奈、金澤美穂、高橋春織、黒島結菜、石川真希、江田結香、最所美咲、小林颯、緋田康人、袴田吉彦

 

【告知!】

ホラーがメインのツイッターはじめました!

@KURIoftheDEAD