肉食による腸内腐敗の誤解!? | 暮らしに虹をかける会

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こんにちは、吉冨です。


近代人が、健康体を維持している狩猟採集民の食事を真似しても、同じように健康になるとは限りません。


人間は食べたものからできてるという言葉があります。さらにいえば、人間は食べた微生物や食べた菌からもできています





もちろん、食事内容は健康体に近づくための大きなヒントにはなるでしょうが、環境・気候・生活スタイルなどが異なれば、食事だけを真似しても、解決の入り口に立てただけで、ゴールには行き着かないかもしれません。




菌は一般に善玉菌や悪玉菌などに分けられますが、近年の研究でそれぞれ重要な役割があることがわかり、善玉なのか悪玉なのかの判断は一概に言えず、生活環境によって異なることがあります。


よく、『肉食をすると腸内で腐敗が起こり、悪玉菌が増殖してしまい、発がん性物質や毒素が多くなってしまう』というようなことがいわれています。

また、『高タンパク質の食事になると、アミノ酸の代謝において多量なアンモニアが発生し、体を汚染してしまう』というようなこともよく言われていますね。


これは確かに部分的には間違ってはいないですが、かなりオーバーな表現です。これらの誇大説明により、多くの人が肉食拒否に走っているのも事実です。


悪玉菌は名前の通り悪玉にされていますが、そもそも必要な菌なのです。悪玉菌の代表的な菌は、クロストリジウム属のウェルシュ菌やブドウ球菌属の黄色ブドウ球菌などです。




これらはさまざまな役割を果たしますが、たとえばウェルシュ菌は胃で消化しきれなかった動物性たんぱく質などを分解し、これにより栄養素を吸収することができます。悪玉菌がいないと、肉類を分解できませんので、必要な栄養素を取ることができなくなってしまいます

この分解により代謝物が生まれます。それがアンモニア、硫化水素、インドール、フェノール、アミンなどのいわゆる腐敗物質です。これらの腐敗物質は一般に有害と指定されているため、より一層拒否感がでてきますが、これらは正常な代謝における単なる産物と思ったほうがよいでしょう。


これらの腐敗物質は体内できちんと解毒されますので心配しないでください。


たとえば、アンモニアですが、NH3(フリーアンモニア)とNH4+(アンモニウムイオン)に分かれます。体内のpH下では、98%以上がNH4+(アンモニウムイオン)で存在し、NH4+は非毒性です。


一方、NH3は細胞障害毒性がありますが、ごくわずかしか存在していませんので、人体には影響がありません。これらのアンモニアは尿素回路により肝臓で無毒な尿素に異化し、最終的に腎臓から尿として排泄されます

また、硫化水素は主な代謝経路は肝臓であり、最終的に、尿中に排泄されます(Bartholomew et al., 1980)。これらは肝臓疾患がない限り、代謝異常を起こすことはありえません。



生きることや食べるということはいつもリスクを伴います。数十兆個の細胞で構成されている私たちの体は、毎日、数千個単位で遺伝子の病変は生じています。それらにいちいち恐れることよりも、それらをいつの間にか克服している免疫や自然治癒力を高めていく必要があるのです。体内で遺伝子病変によるがん細胞が毎日発生しているからといって、必ずしも悪性腫瘍になるというわけではないのです。



話をもとに戻しますが、確かに、動物性たんぱく質はいわゆる悪玉菌を増殖させます。先述したとおり、代謝で悪玉菌が必要だからです。




一般に、健康的な腸を保つには、腸内細菌のバランスが重要であり、(日和見菌を除いて)善玉菌が悪玉菌より優勢である必要があるといわれています。

その善玉菌を増殖させるためのエサとなるものは水溶性食物繊維です。


しかし、伝統的な生活様式を営むイヌイットの食事は気候上ほとんど植物性食品をとらず(ゼロではありません)、主に魚介類や海獣、哺乳動物、鳥を食べ、約75%の脂肪と残りの25%がタンパク質という、エネルギー摂取量でした。




植物性食品をほとんど取らないアフリカのマサイ族もこれと類似したエネルギー摂取比率だといわれています。





それでも、良好な健康状態を維持したのは、おそらく、善玉菌のエサとなる植物性の水溶性食物繊維と同等の、動物性から取れる水溶性食物繊維(コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類)を取っていることが考えられます。


さらに、狩猟採集民は滋養のある栄養豊富な食事、近代人のように抗生物質は服用しない、何よりもアスファルトのない屋外で活動する時間がしっかりあり、土壌菌との接触する時間が多いことが挙げられます。

有益な土壌菌とは反対に、病原体や有害な微生物との接触のリスクも増大しますが、それはまた高レベルの耐性や有能な免疫を獲得することにもつながります。




※http://yaplog.jp/rochirico/archive/444 より



狩猟採集民と異なる生活をする私たち近代人(日本人)は、彼らを完璧に真似ることは不可能です。よって同種の食事内容を真似ても決して同じような健康体にならないかもしれませんが、いろいろな方法はあるはずです。


日本の伝統的な発酵食品を積極的にとることで善玉菌を優勢にしたり、水溶性食物繊維の多い食品を選び意識して食卓に並べることで、これらの解決の糸口が見えるかもしれません。