『ゼロからわかる日本の所得税制』木山泰嗣(2025、光文社) | 倉山塾東北支部ブログ

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ゼロからわかる日本の所得税制~103万円の壁だけでない問題点~ (光文社新書)

 

 

やっとこさ本書を読み終えましたので、雑感駄文をば。


現在の所得税制は、憲法よりも国民生活よりもなによりも

財政を優先しているんじゃないかこの野郎(以下、自主規制)

という「爽やかな」読後感を得られる一冊でした。


ざっくりと書いてしまうと、

日本の所得税制は、長きにわたった「失われた30年間」の中で

「マイルドインフレ下での税制」についての見識ばかりか、

税法の理論すらをかなぐり捨ててしまったのではないかと

言いたくなるような「進歩」をしたのだな、と。


例えば「基礎控除」は「生存権」に基づいて

最低生活費には課税しないことを要請しています。

しかしながら、平成30年の税制改正によって、

基礎控除は高所得者には認める必要がないという改正がなされました。


要するに「金持ちの生活費は保障しなくていいだろ」ということです。

本来平等に享受できるはずの権利を

頑張って稼いだら奪われるという結末にたどり着きます。

それに加えて、一律定額で認められていた基礎控除の仕組みは

複雑になるというオマケまでついております。


昨年末には「税の理屈」を声高に叫んでいる某与党のお方が

一躍有名人となりました。

それを言うんなら、

なぜこういった「おかしな理屈」をこれまでたださなかったのか?

小(こ)3年くらい問い詰めるべきでしょう。

任期までたっぷり時間はありますからね。



 

 

【編集者後記】

 

お盆休みも終わり、また子供たちの夏休みも

いよいよ終わりに近づいてきました。

まだまだ暑さは続きそうですが、

次の季節も少しずつ近づいてきています。


さて、参議院議員選挙から早1ヶ月が経ちました。

“敗軍の将、兵を語らず”と言いますが、

その“敗軍の将”たる石破茂首相は、

故事成語の意味通りには潔くありませんで、

未だに敗戦の責任を取らず。

仮にも一国の宰相たる者が、そんな姿を見せては、

子供たちに「約束破っても、負けても責任取らなくていいんだ」

と醜い手本を示すことになってしまいます。

こういう、見苦しい姿は見せたくないものですね。