『室町は今日もハードボイルド』清水克行(2023 新潮社) | 倉山塾東北支部ブログ

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室町は今日もハードボイルド―日本中世のアナーキーな世界―(新潮文庫)

 


室町時代の日本人は逞しかった。

そう聞いたのは塾長が書いた

室町時代の本である。


だが塾長が書いた本に出てくる人物は

政府とか朝廷といった有名人が多い。


本書を読めば中世の一般日本人が

どれくらい逞しいかわかるだろう。


現代アメリカ国民は銃を所有できる。

一方、中世の日本人は刀を所有できる。


刀を差している人は武士だけではなく

農民も商人も刀で武装していたのだ。


かつての日本もアメリカのように

一般人が武装していた歴史があった。


さらに女性もすごい。

不倫相手を友人と共に襲撃している。

まさに泣き寝入りは許さない姿勢だ。


今だったら弁護士を雇って

不倫相手に裁判を起こすだろうが

自ら手を下すあたり中世である。


中世の日本人は逞しくて羨ましいが

当時は今より暴力が多い環境だ。


打ち勝つために逞しくなる必要がある。

だがその環境でも非力な人はいる。


非力な人の復讐方法は自害である。

そして誰かがその命懸けの訴えを

受け止めるのである。


現代では幸せになることが

復讐だと言われるけどぬるすぎる。

現代人には参考にならないけど

昔の日本はそんな時期があったのだ。


自力救済には力、力、そして力。

良くも悪くも活発な日本人が

中世に多い印象だ。

 

 

 




【編集者後記】


不倫相手を友人とともに襲撃…

『チーターズ』

という番組を思い出してしまいました…


さて、

「のさばる悪を何とする
天の裁きを待ってはおれぬ
この世の正義もあてにはならぬ
闇に裁いて仕置する
南無阿弥陀仏」


そう、ハードボイルドと言えば、前期必殺!

というわけで、この世の正義があてにならないから、

自力救済、なんですよね!

逆に言えば、自分で自分を助けるべく

努力する人間にこそ、

天は助け船を出す、ということでしょうか。


個人も国家も、やはり自力救済が基本です!

というわけで、逞しく生きていきましょう!