先日、荻生徂徠について学ぼうと、
積読の文庫本を開きました。
「二〇五五年 東京」
ロックバンド漫画の一コマが飛び込んできます。
呼吸を整え、カバーと中身が違う、
稀なミスに遭ってしまったのかとカバーを外します。
「原作 荻生徂徠 政談」
嘘だろ?
と表紙裏を見ると登場人物紹介が!
「SORAI:行き詰った日本の政治を打開するために政府が導入したAI」
・・・まあ一興と読むことに・・・
するとどうでしょう!
「もしも荻生徂徠の思想で現代日本を統治したら」
という思考実験は
エンターテイメントとして十分通用するものでした。
よくある学習漫画のような
「子供向け」ではなく、
週刊誌に掲載されても不思議ではない、
れっきとした「漫画」なのです。
最初の政策から
「住居は国が決める」という
人権侵害だったりするのですが、
一理あるので、考えさせられます。
特に面白いと感じたのは、
人材登用を「癖」で判断するというもの。
誰もが習得できる
「そつのなさ」
ではなく、どうしようもない個性である
「癖」
を見極め出世させるというのです。
他にも無職禁止(老人含む)、
借金禁止などなど、
トンデモ政策に翻弄される
若いバンドマンの物語としても、
純粋に楽しめました。
おそらく、
ある程度は荻生徂徠を
誤解することにはなったでしょう。
けれど日本人にとって
便利な入口であることは確かです。
しっかり読書しつつ、
学習漫画も馬鹿にせずチェックしてみようと思いました。

【編集者後記】
そう言えば何年か前は、
本屋の文庫コーナーを歩いていると、
文庫版の漫画が並べてあったのを
覚えています。
今は、それらの商品は
店頭では売っていないそうです。
時代の流れというものも
あるのでしょうね…
古典ブームみたいなものがくれば、
また需要が出てくるかもしれませんね!
それはさておき、
『徂徠豆腐』
また聴きたくなってきました…
