読書感想文:福澤諭吉 著 武内和人 現代語訳『兵論―明治日本の国防論―』 | 倉山塾東北支部ブログ

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本書は、著者名とタイトルにそそられて即買いしました(笑)

 

気になる内容ですが、恐ろしいほど今の日本に当てはまります。

 

そのことに、戦慄しました。

 

「日本の軍人は少なすぎる」というのは、大東亜戦争後一貫していることだし、「中国の軍備拡張に終わりはない」というのも、今もって現在進行形です。

 

軍の兵士の糧食・給料といった、要するに待遇の問題についても、現在の自衛隊に当てはまりましょう。

 

それから、本書では海軍について論じている箇所で触れていましたが、軍備拡張についても、

 

「いずれも十年、二十年の計画であるため、今日一日を引き延ばせば、後になってから事業の齟齬も大きくなっていく。一日ならず、一年ならずと悔いてみても、どうしようもない状況になることを私は恐れている」

 

と言っていますが、まさに最近話題となった防衛費(5年で)倍増の議論そのものです。

 

また、軍備拡充のための財政のあり方や、政府と社会のあり方なども含めて国防を論じていますが、これも何の違和感もなく入ってきます。

 

100年以上も前と同じ議論が、何の違和感もなく通じてしまう恐怖。

 

当時と今では、我々の国防に対する意識が全く変わっていない、ということなのでしょうか…

 

一つ言えるのは、今も昔も日本を取り巻く安全保障環境は、地政学的な条件をはじめ本質的には変わらない、ということです。

 

間もなく77回目の“敗戦の日”です。

 

「国を守る」ということを考える一助に、本書はきっとなることでしょう。

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