江崎道朗 編訳『外務省アメリカ局第一課作成 米国共産党調書』(育鵬社 2021年)読了。
以前江崎先生の著書『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』(育鵬社 2020年)を読んで、若杉要ニューヨーク総領事と『米国共産党調書』について知りました。
その際『米国共産党調書』で報告されている米国共産党の工作やコミンテルンについてのことが今日の海外の最新研究とほぼ変わるところがない、ということにも正直衝撃を受けました。
さらには、調書の内容を当時の日本政府も知っていた、そしてそれにも拘らずそれに耳を傾けることはなかった、ということにも衝撃を受けました。
そんなスゴイ内容の調書ですから、これは『米国共産党調書』を実際に読んでみたいと思っていたところ、なんと江崎先生の編訳で本書が出版されたではありませんか!
というわけでさっそく読んでみたところ、
「当時は今よりも資料などもなく、また限られた期間の調査であったにも拘らずよくここまで的確に調べることができたな」
という印象を強く持ちました。
現在の日本のことばかり見ているとあまりイメージが湧かないかもしれませんが、この調書を見れば決して戦前の日本はインテリジェンス後進国などではない、むしろ日本外務省のインテリジェンス能力は高く、もっと評価されて然るべきと思わずにはいられませんでした。
なぜ日本はアメリカと戦争をするに至ったのか、戦争に至るまでの過程でアメリカでは米国共産党やコミンテルンがどのように暗躍していたのか、ということを知りたい方は必読の一冊です。