井上智洋『AI時代の新・ベーシックインカム論』(光文社新書 2018年)読了。
大学浪人中から大学生の頃にかけて、文藝春秋から出ている『日本の論点』という分厚い年刊誌を読んでいた時期があったが、その中にベーシックインカム(以下BI)についてのコラムがあったことを覚えている。
当時は、「そういう制度もあるのかー」と、興味はそそられたものの何となく読んでいて、それほどきちんと調べてみようとは思わなかった。
もっぱら安全保障(とりわけ軍事)に興味関心が向いていたこともあり、経済を学ぶこと、語れることが大事だとは思っていても、結局後回しになってしまっていたということも、当時BIについてもう少し勉強してみようと思わなかった一因であろう。
最近になって、社会保障を勉強する機会ができ、またBIの話がちらほら聞こえ始めてきていたので、この機会に一度きちんと学んでみようと思い、そこで手に取った本である。
BIについて、大学生の当時は、ただただ「国民全員にお金を給付するんだー」くらいにしか思っていなかった。
だから、財源はどうするのか(既存の社会保障の諸制度に加えてBIを導入するのか、それともBIを導入する代わりに他の制度を廃止するのか)ということは少しも考えていなかった。
だが、本書を読み進めていくうちに、BIは現在の社会を、生活を、あるいは価値観までも変革する可能性のあるものなのだということがよく分かった。
本書は、BIについての原田泰先生の著書とともに読んでおくべき本のうちの1つなのではないかと思う。