竹内睦泰『真・古事記の宇宙―古神道的考察』(青林堂 2020年)読了。
本書は『古事記の宇宙―古神道的考察』の再刊である。
本書のような内容のものは、お話としては面白いが事実かどうかは検証のしようがなく分からない、あるいは何の根拠もないものとして、一笑に付されて終わり、ということが往々にしてあることと思う。
事実かどうかの検証のしようのない神話と、証拠となる史資料があって事実かどうか検証できる歴史。
信憑性という点からは比べるべくもないが、そうかといって神話が何の意味もない妄想、荒唐無稽な話という位置づけで語られ、信ずるに足りないと一刀両断にされるということには少なからず違和感を覚える。
神話とは、ある国の国民性が反映されたものであり、そこに暮らす(暮らしていた)人々がどのような価値観を持っていたか、どのような世界観で物事を見てきたかを伝えているものだと思う。
歴史が「国や民族の記録」であるとすると、神話は「国や民族の記憶」と言ってもいいのではないか。
したがって、荒唐無稽どころか、非常に大切しなければならないものと思うのである。
『古事記』は日本という国の成り立ちが語られている重要な書物であるが、本書は古事記の内容に関して竹内家で口伝で伝えられてきたことの一部を文字化して残したものである。
一般に語られている内容・解釈とは異なり、これまでの古事記のイメージがガラッと変わる内容である。
『古事記』と併せて本書も読むと、さらに『古事記』を味わえること請け合いである。
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