読書感想文:『神社とみどり』 | 倉山塾東北支部ブログ

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神社本庁編『神社とみどり(神社新報ブックス3)』(神社新報社 1983年)読了。

 

小著ではあるが、神社とみどり(森)の関わりについてコンパクトにまとまっており、とても読みやすかった。

 

本書では、都市化によって市街地がどんどん増えて、森がどんどん姿を消し、残っているのは神社境内の森だけとなっている現状に警鐘を鳴らしている。

 

確かに、「森」と言われると、そういうイメージのところはあまりないような気もする。

 

神社の境内と言っても、「森」というより「林」といった方がしっくりくるケースも多いように思う。

 

私が「森」と言われてイメージするのは、ジブリの名作「となりのトトロ」の、トトロが住んでいるようなところだ。

 

…トトロが住んでいるのは大きな楠の洞だが、その大きな楠には注連縄が巻かれていた。御神木のような木だったのか?

 

鎮守の森に神社があり、社殿やその他の施設があるという形態は古くからあるものであるが、社殿のない時代は、トトロの住んでいるような大木が神籬として、また大きな岩などを磐境として、それぞれ神の宿るものとして信仰していたのだろう。

 

そうした意味では、神社と森の関係というものは、日本人が長い間守り続けてきたもので、密接不可分ということができる。

 

ところで、神社というところは地域コミュニティとして機能していた面も大きい。

 

その神社と密接な関係にある森が減少しているということは、神社の地域コミュニティとしての役割も衰退しているということにつながるのであろう。

 

また、森の役割は生態系や地球温暖化、その他様々な自然環境との関わりで語られることも多い。

 

自然環境が大事でないという人はいないだろうが、一方で、科学技術は日々進歩し、我々はより便利な生活を追求し、生活範囲を拡大する。

 

我々の生活範囲の拡大と自然環境の保全とのバランスのとり方が、難しいが重要な問題である。

 

 

…尤も、環境問題などと言い出したら、日本国内よりも海を隔てた隣国の方が問題であろう。

 

黄砂、PM2.5、海洋汚染など、かの国は自然環境など全く気にも留めていない。

 

こちらの被害などどこ吹く風。

 

また、某国の環境省という役所の事務次官が「炭素税」なる税について言及するという分際を弁えぬ発言をしたとかしないとか。

 

そのような不心得者は職を解かねばならぬのが道理であるが、左様な不心得者の部下の首一つ切れぬどころか庇い立てする上司の副大臣。

 

 

おっと、話が脱線してしまった。

 

しかし、環境とはまことにもって大小様々な問題がある。

 

人間が人間らしく、もっと言えば日本人が日本人らしく生きられる環境とはどのようなものか、今一度歴史・文化・伝統を振り返って考える必要があるのではないか。

 

そのように感じた一冊であった。

 

 

それと最後に。

 

地方に住んでいると、まだまだ森林は身近にあるように感じられる。

 

また、地域の神社の祭りなどにも、衰退したとはいえ、若者も含めて地域の人々がきちんと参加し、地域の歴史や文化・伝統を守っているようにも見受けられる。

 

もしかしたら、地域を活性化させるためのヒントは、そんなところにもあるのではないか、とも少し感じた。

 

シャアではないが、地方は

 

「まだだ、まだ終わらんよ!」

 

という気概さえあれば、まだ何とかなるのではないだろうか。

 

いずれにしても、我々地方に住む人間の「どうするか」という意思にかかっている、ということであろう。

 

地域に対して自分に何ができるか、何をしなければならないか、きちんと考えておくことが必要だし、少なくとも「何とかしなければ」という意思は持っていたいものである。

 

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