大橋武夫『兵書研究』(日本工業新聞社 1978年)読了。
他の本を読んでいた関係で、少し読み終えるのが遅くなってしまったが、やっと読むことができた。
小学生の頃から兵法に関心があった私としては、とても惹かれるタイトルであり、また内容もそれなりに満足できるものであった。
もっと早くにこの本を読めていれば…
さて、本書の構成は、
第一篇 兵書入門
第二篇 代表的兵書とその解説および抜粋
第三篇 兵書に関係ある中国の古典とその解説および抜粋
第四篇 その他の兵書とその解説および抜粋
第五篇 兵法演出の実例
特別篇
となっている。
本書の第二篇~第四篇で取り上げられている兵書は、
孫子、君主論・政略論、戦争論、統帥参考、作戦要務令(以上第二篇)、論語、孟子、荀子、韓非子、老子、荘子(以上第三篇)、呉子、尉繚子、六韜、三略、三十六計、戦国策、鬼谷子、闘戦経、甲陽軍鑑、海戦要務令、統帥綱領、野外令(以上第五篇)
となっており、日本と中国の兵書がメインとなっている。
だとすれば、本書に載っていない「司馬法」と「李衛公問対」の解説も是非読みたかった…。
それはさておき、これらのラインナップを見て、読んだことのあるものの方が少ないので、これから読むにあたってのガイドブックとして大いに参考になった。
第五篇の兵法演出の実例であるが、これは古今東西の戦闘をいくつか選び、解説を施しているものである。
ここについては、正直もっと多くの戦例を見たかったが、紙幅の都合上やむなしといったところか。
ただ戦例については、他の本でも学ぶことができるので、それらの戦例を、本書で著者が行っているように自分で解説ができるようになれれば、と思った。
それと、特別篇は『孫子』の全訳や名言集であり、著者の孫子に対する関心の高さがうかがえるものであった。
ここまで色々と述べてきたが、本書で最も大事な部分は、やはり第一篇であろう。
第一篇は兵書を学ぶことや、兵書の読み方に関してのこと(注意点など)が書かれている。
私も昔は書かれている文字にばかりとらわれていて、「そこからどんな教訓を求めようとしているか」という視点がなかった。
「どんな教訓が得られるか」ということが大事なことで、字面だけ追っていてもダメなのである。
自分自身に対する戒めとして覚えておかなければならない。
…一回読んだだけでは物足りないので、繰り返し読みたいと思わせてくれる1冊であった。