読書感想文:トーマス・キューネ/ベンヤミン・ツィーマン編著『軍事史とは何か』 | 倉山塾東北支部ブログ

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トーマス・キューネ/ベンヤミン・ツィーマン編著『軍事史とは何か』(原書房 2017年)読了。

 

本書は、軍事史について、様々な観点(歴史、社会、文化、経済、政治、科学技術、作戦史、ジェンダーなど)から分析したものをまとめた論考集である。

 

ここに収められている論考は、様々な分野から見た軍事史の論考なので、興味のある分野のものから見ていくのがいいかもしれない。そして、読みやすい(比較的すらすら読めるように書かれている)ものもあれば、文章が硬くて難解な書き方をしているものもあるので、そこは注意しておくのがいいと思う。

 

本書で、特に参考になったところを抜き書きする。

・「…軍事史という学問領域が、〔その研究対象に関して〕軍という組織に限定されてはならない…」(p226)

・「…軍隊の社会的な意味、そして戦争の影響と並んで、戦争の原因、発生、経過は、経済的な諸要素と関係づけなければ理解できない。」(p239)

・「全体的にさまざまな理論によるアプローチを学際的に応用することによって、理解は飛躍的に高まる。それゆえ、社会的・経済学的なモデルを拒否すべきではなかろう。」(p246)

・「…包括的な戦争史や軍事史にとって、経済的な問題設定を取り入れることが絶対に必要だということである。これは、戦争の原因を研究する場合でも、戦争の諸条件についても、「総力戦」の条件の研究に対してもあてはまる。」(p252~253) 

・「総力戦は全体史を要する」(p392)

・「…総力戦を描くには、総合的な歴史叙述(Totalgeschichtsschreibung)が必要」「戦争が「全国民の問題」となって以降、軍事史は「総合史(Totalgeschichte)」として描かれる必要がある」(p457)

 

軍事を学ぶということは、様々な分野を総合的に学ばなければならない、ということだ。というよりも、様々な分野・領域の知識を軍事を学ぶ前提として身につけておかないと、軍事を理解できない(純粋な軍事の分野だけを勉強しても、かなり狭い範囲でしか理解できない)、と言い換えた方がいいのかもしれない。

 

いずれにしても、「日本を守りたい」という志を実現するために必要な武器(知識)が、自分にはまだまだ足りない、ということは再認識できた。

もっともっと色々な分野を勉強しないと!