レーシングドライバーの中の人の話 37 | クラゴン親方のRacing Blog

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意味なくレーシングな日々をアレしていきます

感情の話をアレしませうか。


競技では感情的になってはいけないんですよ。


なぜかというと判断を誤るから。


具体的にアレすると、自分の求める行動を短絡的に行うようになります。例えば地震が来たのにビックリして外に出ちゃうとか。結果として状況を良くすることではなくも、その場の自分のストレスを解消するような行動です。冷静なら自分の身を守れるはずの状況でも、脊髄反射的に行動しては助かるもんも助かりません。


モーターレーシングの場合はけっこう死にそうになります。「死ぬほど疲れた」とかの比喩ではなくて、物理的に死にそうになります。


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ゲリラ豪雨に雨の苦手な2輪駆動+大パワーのポルシェ。このときはひどかった。


そのへんにクラッシュしたレーシングカーがあって、壊れたパーツが散らばってて、もう戦場みたいなもんです。鉄砲玉は飛んでこないけど、スピンしたレーシングカーは飛んでくるし。


あとこんなときもありました。


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24時間レースの夜中担当のとき。


よく見るとスピードメーターが写ってまして、201kmと表示してます。この暗い中で。しかもあんまり見えないので、ちょっと明るく調整してます。


この暗い中、アクセル全開で行くんだから、人としてかなりアレです。


こういう状況を何とかする必要があると、いちいち感情が動かなくなります。


人間だから感情がなくなるわけではないんですが、行動が感情に支配されなくなります。怖いもんは怖いけど、アクセルは踏みっぱ。怖いということと、物理的にアクセルを踏めないということは別だから。何の問題もありません。


競技って見てる人は感動したりするし、選手も熱いアレだったりもするけど、オレはこういうカンジです。


いちいち感情的になるヤツは、レースでも相手しやすいんだよね。だって行動が読めるから。コッチに都合がいい行動をさせるように、挑発してやればいいんです。反対に挑発しても乗って来ないヤツは手強いと思いますよ。


いいことに感動しやすい人は、悪いことに動揺しやすいです。

人の不幸に泣ける人は、振り込めサギに引っかかりやすい。そういうもんです。


選手としては、感情に流されると、物理的な良し悪しよりも好き嫌いを優先するから、やっぱりダメでしょう。勝ちたい気持ちが強いほど、正しい判断をできない由縁です。


人としては支障がないでもないですが、オレはちょっとしたことに感動できる楽しい人生よりも、レースで強い方がいいや。