本日のテーマ
【国民が一つになれない時代】
歴史は繰り返すと言われます。
遠い昔、人間は生きるために知恵を絞り、集団で生活するようになりました。
やがて集団同士の争いが起こり、その規模は大きくなり、国と国との戦争へと発展していきました。
平和が訪れたと思えば、また争いが起こる。
歴史を振り返ると、人類は戦争と平和を繰り返してきたように見えます。
昭和から現在までの日本を振り返っても、時代は大きく変化してきました。
戦争。
貧困。
復興。
豊かな時代。
贅沢な時代。
そして、不景気や不安の時代。
こうして見ると、良い時代はいつまでも続かないことが分かります。
人は、危機感を持ったときに、初めて「何とかしなければならない」と本気で考えるのかもしれません。
そして、その思いを持つ人が増えたとき、人々は力を合わせ、時代を動かし始めます。
戦後の日本には、その力がありました。
貧困から抜け出さなければならない。
もう一度、国を立て直さなければならない。
豊かな日本をつくりたい。
その共通の思いが、多くの国民の中にありました。
「アメリカに追いつけ、追い越せ」
この言葉のもとに、多くの人が働き、学び、努力し、日本は復興への道を歩んでいったのです。
アメリカでも、1960年代にキング牧師を中心とした公民権運動が起こりました。
人種差別の撤廃という目的に向かって、多くの人々が立ち上がり、社会を大きく前進させました。
時代も国も状況も違います。
しかし、そこに共通しているのは、価値ある目的があり、その目的に向かって人々が動いたということです。
では、今の日本はどうでしょうか。
一見、平和な時代に見えます。
しかし、少子高齢化、経済の停滞、地域の衰退、教育の問題、人間関係の希薄化など、深刻な課題は数多くあります。
それでも、国民全体が一つになって世の中を良くしていこうという気運は、なかなか高まっていないように感じます。
なぜなのでしょうか。
自分の身近で問題が起きていないからでしょうか。
問題が見えていても、他人事になっているからでしょうか。
それとも、何を目指せばよいのかが見えなくなっているからでしょうか。
「今のままで本当によいのか」
私たちは、一度立ち止まって考える必要があるのではないでしょうか。
今の日本は、まだ平和な社会です。
しかし、その平和は決して当たり前ではありません。
平和を支える価値観や秩序、人と人との信頼が崩れていけば、社会は少しずつ弱くなっていきます。
本当に良い時代を創るためには、国民一人ひとりの自覚と行動が必要です。
そして同時に、人々を価値ある目的へ導く、強いリーダーの存在も必要なのだと思います。
ここでいう「一つになる」とは、全員が同じ考えになることではありません。
違いを認めながらも、未来のために大切な目的を共有することです。
歴史上、民衆の力で時代を動かしてきたリーダーたちは、何を目指すのか、何が問題なのか、どうすればよいのかを、分かりやすく伝えてきました。
理想の社会は、どうあるべきか。
今、問題になっていることは何か。
それを改善するために、何が必要なのか。
だから、今、何をすべきなのか。
この道筋を示すことが、リーダーの役割なのだと思います。
価値ある目的を持つリーダーは、人の心を動かします。
そして、価値ある目的を共有した国民は、時代を動かす力を持ちます。
今の時代に必要なのは、ただ不満を言うことではありません。
誰かを責めることでもありません。
まず、自分たちの時代の課題を知ること。
そして、未来のために何を守り、何を変えていくべきかを考えること。
そこから、国民がもう一度、価値ある目的に向かって歩き出す力が生まれるのではないでしょうか。
ハイネの言葉に、次のようなものがあります。
「どの時代にもそれぞれ課題があり、それを解くことによって人類は進歩する」
今の時代にも、私たちが解かなければならない課題があります。
その課題から目をそらさず、一人ひとりが自覚を持って向き合うこと。
そこに、これからの日本を良くしていく第一歩があるのだと思います。