本日のテーマ
【武士道の覚悟】
バスに乗っていると、窓ガラスに雨が落ちてきました。
つい先ほどまでは天気だったのですが……。
すると前の座席にいた、50代くらいの夫婦がこんなやり取りをはじめました。
妻 「あら雨!イヤだ~洗濯物が濡れちゃう。どうしよう…」
夫 「先まで晴れていたのにね」
妻 「いや~どうしよう」
夫 「仕方ないじゃないか…」
妻 「でもイヤだわ~」
夫 「仕方ないのだから諦めなよ…」
妻 「でも……」
この会話を聞いていて気になりました。
「このご夫婦は今日一日楽しく過ごせるのだろうか……」
同時に、こんな言葉を思い出しました。
武士道の影のバイブルとされた『葉隠(はがくれ)』は、有志の間でひそかに読まれていた書です。
その葉隠には、「心理的な不快感を克服するための覚悟」について書かれています。
「大雨の戒めということがある。道の途中でにわか雨にあうと、濡れては困るとばかり、急いで軒下などに走ったりするが、濡れることには変わりない。はじめから濡れてもかまわないと思っていれば、なんの苦になることがあろうか。これはすべての共通する心得である」(葉隠聞書第一・七九)
このことは何にでも共通するでしょう。
起こってしまったことを悔んだり、心配したりしてもどうすることもできません。
すでに起こってしまったのですから――ならば覚悟を決めて諦めることです。
バスのご夫婦の会話では、ご主人は、
「仕方ない。考えてもどうにもならない」
と覚悟を決めて意識を換えていました。
しかし奥さんは、考えてもどうにもならないことをいつまでも引きずっていました。
起こってしまったことには、考えを切り換えるために“葉隠の武士道”を参考にしたいものです。