本日のテーマ

先に相手を喜ばせる

 

 

人に何かをお願いするとき、相手が気持ちよく引き受けてくれると、とても嬉しくなります。

 

反対に、断られることもあります。
その断り方がつっけんどんであれば、嫌な気持ちになることもあります。

 

相手がすんなり受け入れてくれるかどうかは、日頃の付き合い方とも深く関係しているのではないでしょうか。

 

二宮金次郎、のちの二宮尊徳に、次のような話があります。

 

あるとき、畑を耕す鋤が壊れてしまったため、金次郎は隣の家へ鋤を借りに行きました。
すると隣の人は、

 

「これから使うところなので、仕事が終わらなければ貸せない」

 

と言いました。

 

そこで金次郎は、ただ待つのではなく、その家の鋤を使って、先に隣の家の畑を耕し、種まで蒔いてしまったのです。

 

すると、その家の人は大変喜びました。
それ以来、金次郎に対して、何かと便宜を図ってくれるようになったといいます。

 

 

 

これが、金次郎の発想でした。

 

自分の都合だけを先に押し出すのではなく、まず相手のために働く。
先に相手を助け、先に相手に喜んでもらう。
その結果、あとから自分にも助けが返ってくるのです。

 

これは、単なる損得勘定ではありません。

 

「自分が先に得をしたい」
「自分のお願いを先に聞いてほしい」

 

という考えではなく、

「まず、相手に喜んでもらう」
「まず、相手の役に立つ」

という姿勢です。

 

人は、自分を大切にしてくれた人を、大切にしたくなるものです。
自分のために動いてくれた人には、何かを返したくなるものです。

 

だからこそ、日頃から相手を大切にし、相手に喜んでもらうことを心がけることが大切なのだと思います。

 

お願いごとは、突然生まれるものです。
しかし、そのお願いを受け入れてもらえるかどうかは、突然決まるものではありません。

 

日頃の接し方。
日頃の思いやり。
日頃の小さな行動。

 

その積み重ねが、いざというときの人間関係をつくっているのです。

 

相手に何かをお願いすることは、誰にでもあります。
そのときのためにも、まずは日頃から相手を大切にしておきたいものです。

 

二宮尊徳の言葉に、次のようなものがあります。

 

譲って損はなく、奪って得はない。

 

先に相手を喜ばせる。
先に相手の役に立つ。
その心が、めぐりめぐって、自分の人生にも良い流れをつくっていくのだと思います。

 

 

本日のテーマ

人間洞察

 

 

この時代は、とかく「世知辛い世の中」と言われます。

 

何でも計算づくで、周りの人への配慮や情のない言動が、世の中を世知辛くしているのでしょうか。

 

人に対する思いやりや、相手を理解しようとする心が、昔より希薄になってきているように感じます。
そのため、人間同士の関係がどこかギスギスしていることも、少なくないように思います。

 

できることなら、次世代を担う子どもたちには、こうした冷たさばかりに触れさせるのではなく、人間のぬくもりが感じられる環境の中で育ってほしいと願います。

 

書籍『心魂にひびく言葉』(致知出版社)の中に、熊本県の教員の言葉が紹介されています。

 

熊本県八代市に、超凡破格の教育者といわれ、百年に一人の教育者とたたえられた徳永起先生がおられました。
その徳永先生の教育語録です。

 

以下引用――

 

白く乾いた土には、そっと水を注いでやろう。
日かげにある花は、そっとひなたに出してあげよう。

学校において最も欠けているのは、人間洞察の知恵ではあるまいか。

まずは、その子と「仲よし」になりたい。
どんな問題児ともすぐ仲よしになるコツ。
それは、つめたい目をなくすこと。

 

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徳永先生は、生徒より先にあいさつをし、にっこり笑って握手することを日課とされていたそうです。

 

この徳永先生の語録を読んで、私は改めて大切なことに気づかされました。

 

すべての子どもには、無限の可能性があります。
しかし、その可能性は、ただ待っているだけで自然に開くものではありません。

 

先生であれ、親であれ、大人がその子と正面から向き合い、その子の中にある素晴らしさや才能を見出し、引き出してやろうとする情熱が必要なのだと思います。

 

相手を受け入れる。
相手をよく見る。
相手の心を理解しようとする。

 

そこに、人間洞察があります。

 

人は、冷たい目で見られれば心を閉ざします。
しかし、温かい目で見られれば、心を開くことがあります。

 

子どもだけではありません。
大人も同じです。

 

人を育てるとは、相手を変えようとする前に、まず相手を理解しようとすることではないでしょうか。

 

ローウェルの言葉に、次のようなものがあります。

「知はいつでも買えるが、情は市場には現れない」

 

知識は学べます。
技術も身につけることができます。

 

しかし、人を思いやる心、人を理解しようとする情は、お金で買うことはできません。

 

だからこそ、今の時代に必要なのは、知識だけではなく、人間を深く見つめる力ではないでしょうか。

 

人を見る目を温かくする。
相手の可能性を信じる。
その人の奥にあるものを見ようとする。

 

それが、人間洞察の知恵なのだと思います。

 

 

本日のテーマ

誠実は正義に勝る

 

 

以前に、『リアル・サクセス』という書籍を紹介したことがあります。

 

この本は、ニューヨークで1897年に創刊され、約一世紀にわたって刊行された雑誌『サクセスマガジン』に掲載された成功者たちの教えを、一冊にまとめたものです。

 

その中に、「誠実の大切さ」について、とても心に残る言葉が記されていました。

 

以下引用――

 

成功者はいう。

「目標を達成するためには、絶対に協力者が必要なんだ。それも多くの人の協力がね。そのためには、誠実であることが絶対の条件なんだよ」

「成功するには、黄金律を実践できるかどうかにすべてがかかっている。自分がしてほしいことを、相手にすることだ。これは秘訣以上のもので“成功の掟”だ」

「誠実であること、これに尽きる。正義感ではない。正義は人によって違う。正義感を行使することで、正直や誠実さを訴える人がいる。しかし、なにが正義なのか? それは価値や立場の問題であって自由である。この正義の論争は、戦争の原因にさえなる。しかし誠実さは、どんな主義、思想の中でも公平なんだよ」

「誠実さは、最終的な成功の決め手となる。誠実さを伴わずに成果をあげても、それは一時的なことだ。誠実さを装い、相手をうまく騙せたとしても、結局いつかは化けの皮が剝がれる」

――引用ここまで

 

改めて、「正義」とは何でしょうか。

 

大辞泉には、
「人の道にかなっていて正しいこと」
とあります。

 

一方、「誠実」とは、
「私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること」
とあります。

 

どちらも大切な言葉です。

 

しかし、ここで考えさせられるのは、正義は人によって違うということです。

 

自分にとっての正義が、相手にとっても同じ正義であるとは限りません。
立場が変われば、見え方も変わります。
価値観が違えば、何を正しいとするかも変わってきます。

 

だからこそ、自分の正義を強く主張しすぎると、相手を裁く心になってしまうことがあります。

 

一方で、誠実さは違います。

 

誠実であろうとする心は、相手を騙さないこと。
ごまかさないこと。
私利私欲だけで動かないこと。
真心をもって、人や物事に向き合うことです。

 

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これは、立場や価値観が違っても、人として伝わるものではないでしょうか。

 

成功者の言葉は、とても深く、考えさせられます。

 

今の自分は、誠実を大切にしているのか。
それとも、自分の正義を振りかざしていないか。

 

ときどき立ち止まり、自分に問いかけてみることが大切だと思います。

 

成功とは、信頼についてくるもの。
そして、その信頼の土台にあるものこそ、誠実さなのだと思います。