本日のテーマ
【人間洞察】
この時代は、とかく「世知辛い世の中」と言われます。
何でも計算づくで、周りの人への配慮や情のない言動が、世の中を世知辛くしているのでしょうか。
人に対する思いやりや、相手を理解しようとする心が、昔より希薄になってきているように感じます。
そのため、人間同士の関係がどこかギスギスしていることも、少なくないように思います。
できることなら、次世代を担う子どもたちには、こうした冷たさばかりに触れさせるのではなく、人間のぬくもりが感じられる環境の中で育ってほしいと願います。
書籍『心魂にひびく言葉』(致知出版社)の中に、熊本県の教員の言葉が紹介されています。
熊本県八代市に、超凡破格の教育者といわれ、百年に一人の教育者とたたえられた徳永起先生がおられました。
その徳永先生の教育語録です。
以下引用――
白く乾いた土には、そっと水を注いでやろう。
日かげにある花は、そっとひなたに出してあげよう。
学校において最も欠けているのは、人間洞察の知恵ではあるまいか。
まずは、その子と「仲よし」になりたい。
どんな問題児ともすぐ仲よしになるコツ。
それは、つめたい目をなくすこと。
徳永先生は、生徒より先にあいさつをし、にっこり笑って握手することを日課とされていたそうです。
この徳永先生の語録を読んで、私は改めて大切なことに気づかされました。
すべての子どもには、無限の可能性があります。
しかし、その可能性は、ただ待っているだけで自然に開くものではありません。
先生であれ、親であれ、大人がその子と正面から向き合い、その子の中にある素晴らしさや才能を見出し、引き出してやろうとする情熱が必要なのだと思います。
相手を受け入れる。
相手をよく見る。
相手の心を理解しようとする。
そこに、人間洞察があります。
人は、冷たい目で見られれば心を閉ざします。
しかし、温かい目で見られれば、心を開くことがあります。
子どもだけではありません。
大人も同じです。
人を育てるとは、相手を変えようとする前に、まず相手を理解しようとすることではないでしょうか。
ローウェルの言葉に、次のようなものがあります。
「知はいつでも買えるが、情は市場には現れない」
知識は学べます。
技術も身につけることができます。
しかし、人を思いやる心、人を理解しようとする情は、お金で買うことはできません。
だからこそ、今の時代に必要なのは、知識だけではなく、人間を深く見つめる力ではないでしょうか。
人を見る目を温かくする。
相手の可能性を信じる。
その人の奥にあるものを見ようとする。
それが、人間洞察の知恵なのだと思います。