京極夏彦『ヒトでなし 金剛界の章』
新潮社 2015.10.20発行
- ヒトでなし 金剛界の章/新潮社
- ¥2,052
- Amazon.co.jp
★本の内容(Amazon.co.jpより)
理屈も倫理も因果も呑み込む。
この書は、「ヒトでなし」の「ヒトでなし」
による「ヒトでなし」のための経典である。
娘を亡くし、職も失い、妻にも捨てられた。
俺は、ヒトでなしなんだそうだ。
そう呟く男のもとに、一人また一人と破綻者
たちが吸い寄せられる。
金も、暴力も、死も、罪も。
求めているものは、赦しなのか?
施しなのか?
救いなのか?
それとも―。
犯罪小説であり、思弁小説であり、宗教小説
であり、諧謔小説であり、そしてなにより前
代未聞のエンターテインメント小説!
★ここだけの話
とても読みやすい哲学書のようなものです。
人それぞれの「生きていく意味」を懇切丁寧
に書き上げています。
さらに心理描写も巧みです。
京極作品にはいつも驚かされますが、自分自
身に入り込む何かがあるのです。
まわりの人は納得しなくても、自分には同調
できる部分がいくつも存在します。
主人公は「ヒトでなし」です。
でも達観したような日々をおくっています。
彼のまわりの人々は、そんな彼に触れて、何
かが変わっていきます。
友人によって、新興宗教の教祖にまつりあげ
られるところまで書かれています。
ということは、続編があるのでしょう。
「ヒトでなし」は教祖として、どう立ち向か
っていくことになるのでしょう。
本人にその気がなくても、いやいや巻き込ま
れてしまいそうな展開が予想されます。
次回作、楽しみです。