●連城三紀彦 『処刑までの十章』光文社 | 新・駅から駅までウォーキング

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連城三紀彦 『処刑までの十章』
           光文社 2014.10.10発行
 



処刑までの十章/光文社
¥2,052
Amazon.co.jp




★本の内容(Amazon.co.jpより)


ひとりの平凡な男が突然消えた。
弟直行は、土佐清水で起きた放火殺人事件、
四国の寺で次々と見つかるバラバラ死体が、
兄の失踪と関わりがあるのではと高知へと向
かう。
真相を探る度に嘘をつく義姉を疑いながらも
翻弄される直行。
夫を殺したかもしれない女に熱い思いを抱き
ながら、真実を求めて事件の迷路を彷徨う。
禁断の愛、交錯する嘘と真実。
これぞ、連城マジックの極み。
耽美ミステリーの名手が遺してくれた渾身の
1000枚!
闘病中に書き上げた執念の大長編を、追悼の
意を込めて、一周忌に刊行。


★ここだけの話


昨年の10月に亡くなられた連城三紀彦氏の
遺作です。


真面目に生きてきた一人の男が失踪。
その行方を追って、妻と弟が行動をおこしま
す。
互いに嘘をついているのではないかと疑いな
がら。
でも真実はなかなか見いだせません。


彼らの思考を複雑にしているのが、四国で起
こった放火殺人事件です。
これに関連して、失踪したかに思えるのです
が、状況はなかなか進展しません。


最後に男からの依頼で自分を尾行するように
依頼された探偵社の社員から、今まで考えも
つかなかった真実が語られます。


男女間のこと、この本に書かれているように
複雑、微妙そして迷路なんですね。
なぜ、簡単にわかってしまう嘘をつき続ける
んでしょう。
これを相手が考えている時間が最も長く感じ
られました。


失踪当日、いったん家に帰ってきた夫と妻は
顔を合せなかったんでしょうか。
また失踪目的で会社の金を横領していたのは
本当なんでしょうか。
いまいち、読みとれなかった部分です。


弟が四国の事件の真犯人に思い当たるところ
は、確かにミステリだと感じました。
切れ味鋭いなかなかの推理です。


とても闘病中に書かれたものとは思えないほ
どの力作です。
また10月29日にはもう1冊本がでます。
講談社から発売される『女王』です。
最後まで執筆を続けられた連城三紀彦氏。
もっともっと彼の作品を読みたかったのは私
だけではないでしょう。
とても残念です。