●東野圭吾『虚ろな十字架』光文社 | 新・駅から駅までウォーキング

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東野圭吾『虚ろな十字架』
           光文社 2014.5.25発行
 

虚ろな十字架/光文社
¥1,620
Amazon.co.jp



★本の内容(Amazon.co.jpより)


娘を殺されたら、あなたは犯人に何を望みます
か。


別れた妻が殺された。
もし、あのとき離婚していなければ、私はまた、

遺族になるところだった──。
東野圭吾にしか書けない圧倒的な密度と、予想
もつかない展開。
私たちはまた、答えの出ない問いに立ち尽くす。


★ここだけの話


東野圭吾の人気ミステリである「ガリレオ」や
「加賀恭一郎」などのシリーズものではありま
せん。
そのせいではないのですが、ミステリとしては、

ごく普通のレベルのように感じました。

なにかこうワクワク感にとぼしいという感じ。


物語の中心となる人物に、特定のイメージとい
うものを持てないからかもしれません。
人物像がはっきりしないまま、読み終わってし
まいました。
でもそれは、裏を返せば、とても読みやすいと
いうことにつながります。


今回取り扱っているテーマは死刑と死刑制度に
ついてです。
非常に重いテーマです。
この物語のなかにでてくる3つの殺人。
それぞれ殺す理由も違います。
犯人と被害者家族のその後の対処の仕方、人生
の歩み方も違ってきます。


死刑について作者なりの結論めいた答えが用意
されているわけではありません。
犯罪には多種多様な原因があり、それと同じだ
け対処法があるのだ、と言っているのではない
でしょうか。


被害者の遺族が、次は真の被害者になってしま
うという設定は、何ともいたたまれない気分に
させてくれます。
読後は、それほどスッキリした気持にもなりま
せん。
こうした余韻は、あまり引きずっていきたくな
いですよね。