●森晶麿『COVERED M博士の島』講談社 | 新・駅から駅までウォーキング

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森晶麿 『COVERED M博士の島』
        講談社ノベルズ 2014.4.15発行 
 


COVERED M博士の島/講談社
¥1,620
Amazon.co.jp



  

★本の内容(Amazon.co.jpより引用)


募集内容・・全身整形に抵抗のない二十代か
ら三十代の男性を急募。
報酬・・一千万円。
条件・・瀬戸内海O島に最大一年の滞在。
備考・・術後、元の姿に戻れないことを承諾
できる方に限ります。


人生に絶望していた「僕」は、新しい「自分」
を手に入れるために、治験モニタ人材バンク
のサイトにあった異様な募集に応募し、O島に
向かった。
瀬戸内海に浮かぶO島は、近年まで〈鬼〉が出
ると噂され、周囲の住民も近づくことのない
孤島だったが、東京から姿を消した若き天才
美容外科医のM博士が購入し、研究棟を建て
て究極の「美」を追究していた。
そこには、二人の美しい女と博士の婚約者=
レイコがいた。
「僕」の手術後、M博士の部屋から、首のな
い死体が見つかる。
博士を殺した〈鬼〉を自らの手で捕まえるた
め、レイコは研究棟を〈密室〉にしていく。
なぜ、M博士は殺されたのか。
究極の「美」とは何なのか。
〈鬼〉は何者なのか。

アガサ・クリスティー賞作家が初めて挑んだ
孤島ミステリ。


★ここだけの話


古典的な孤島ものとは一味違います。
その大きな理由は、顔や体をいとも簡単に整
形してしまうM博士の存在です。
彼の所有する孤島で、連続して殺人事件が起
こりますが、犯人を指摘して「これでおしま
い」とはなりません。


すべてはM博士とレイコと僕の高校時代に端
を発しているのです。
治験モニターに選ばれたこともM博士の術中
にはまってしまった結果でした。


「黒猫シリーズ」で追求された「美」は、こ
の物語の中でも重要な要素=究極の人間の美
として登場します。
「美」の追求のための美容整形が、この島で
は個人的にM博士のおもちゃと化していまし
た。


結局、僕は整形されてM博士そっくりに変え
られてしまうのですが、連続殺人の容疑者と
して、再びもとの自分に作り変えられる運命
にあったようです。


しかしこのあとに生き残るのは、レイコただ
一人かもしれません。
そのように示唆している箇所があります。
となると、男性たちはすべて敗者となります。
僕も、M博士も。