●喜多喜久 『二重螺旋の誘拐』 宝島社 | 新・駅から駅までウォーキング

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喜多喜久 『二重螺旋の誘拐』
            宝島社  2013.11.25発行 


二重螺旋の誘拐 (『このミステリーがすごい!』大賞シリーズ)/宝島社
¥1,575
Amazon.co.jp


★本の内容(Amazon.co.jpより引用)


大学に助手として勤務する香坂啓介は、先輩・
佐倉雅幸の一人娘・五歳の真奈佳に亡くなった
妹の面影を重ねて可愛がっていた。
ある日、真奈佳は一人でプールに出かけ、その
まま行方不明になる。
真奈佳の行方を必死に探す雅幸と妻・貴子。
そこへ誘拐を知らせる電話が…。
啓介の物語と雅幸の物語は、螺旋のように絡み
合いながら、誘拐事件を軸にやがて一つに収束
していく。


★ここだけの話


非常によくできたミステリだと思いました。


誘拐事件が十数年という時を隔てて2回発生し
ているんです。
1回目は真奈佳ちゃんの事件。
結果は、背後に複雑な状況をかかえた狂言誘拐
で、もちろん子供にも影響はありません。
家族内のトラブルのようなものですから、警察
の介入もありません。

その後平穏な十数年が過ぎて、また新たな誘拐
事件が発生するという設定です。

ただこれは読んでいる時には全くわからないよ
う書かれています。
同じ時代の、別の描写かと思いました。
知らず知らずだまされていたようです。


実は全然違う誘拐事件で、この2つの事件が二
重の螺旋のように絡み合って書かれていること
から、『二重螺旋の誘拐』というタイトルにな
ったのでしょう。


最後のどんでん返しの演出は見事です。
だまされても気持ちの良い作品でした。