●森博嗣 『ジグβは神ですか』 講談社ノベルズ | 新・駅から駅までウォーキング

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メモ水野諒子 ちょっと昔は 赤柳♂本 


森博嗣 『ジグβは神ですか』
               講談社ノベルズ  2012.11.6

ジグβは神ですか (講談社ノベルス)/講談社
¥1,050
Amazon.co.jp


★本の内容(Amazon.co.jpより)


ついに姿を現した天才博士。
Gシリーズ最大の衝撃!


芸術家たちが自給自足の生活を営む宗教施設・美之里。

夏休みを利用しそこを訪れた加部谷恵美たちは、調査
のため足を運んでいた旧知の探偵と再会を果たす。
そんななか、芸術家の一人が全裸で棺に入れられ、
ラッピングを施された状態で殺されているのが発見
される。
見え隠れするギリシャ文字「β」と、あの天才博士の
影。
萌絵が、紅子が、椙田が、時間を超えて交叉する―。
ついに姿を現した天才博士。
Gシリーズ最大の衝撃。
惹かれ合う森ミステリィ。


★ここだけの話


森博嗣のこの1冊だけを読んでも全然おもしろくない
と思います。
彼独特の理系・論理的思考のミステリは少なからず、
連続性があり、主要登場人物は限られています。
一人一人の個性がとても良く表現されていて、それが
一貫して変わりません。


この作者のミステリを本当に楽しむためには、まず
「S&Mシリーズ」10冊の犀川創平、西之園萌絵、
そして「Vシリーズ」10冊の瀬在丸紅子、保呂草
潤平、「四季シリーズ」4冊の真賀田四季、「Xシリ
ーズ」3冊の椙田泰男、鷹知裕一郎、この「Gシリー
ズ」8冊に登場する人たちをイメージすることが大切
です。
これら5つのシリーズは、ほとんどつながりをもって
書かれていますので、同じ人物が登場したりします。


『ジグβは神ですか』で全ての作品に共通して見え隠
れしてきた天才博士・真賀田四季の現在がわかるので
す。
やはり日本を脱出していて、今はメキシコにいるとい
う設定になっています。
しかも一部の人たちには、神として君臨しているよう
です。
彼女に絶対的な信仰を抱く人々がいる限り、まだまだ
事件は起こっていくのかもしれません。


でもこれで「Gシリーズ」も8冊目。
作者は10冊をめどにシリーズを書いているので、
あと2冊で完了させるつもりではないかと思います。


年間10冊以上のミステリを発表していた頃に比べる
と、今は年間1冊あるかないかの状況ですので、多少
寂しく感じます。


小学生だった「へっくん」はN大助教授に、学部学生
の萌絵はW大准教授にと、時代は経過しています。
そう言えば国立N大助教授だった作者の森博嗣も、
大学を退官しています。


1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞
を受賞して以来、ずっと彼のミステリを読み続けて
きました。
ということは17年です。
こうした息の長いシリーズを読んでいると、最近つく
づく感じてしまいます。
「シリーズの終了」と「自分の寿命」のどちらが先に
訪れるのかな?