この本に 真夏日の汗 落ちていく
日本推理作家協会編
『推理小説年鑑 ザ・ベストミステリーズ2012』
講談社 2012.7.5発行
- ザ・ベストミステリーズ2012 (推理小説年鑑)/講談社
- ¥1,680
- Amazon.co.jp
★本の内容(Amazon.co.jpより引用)
国内で発表されたすべての短編ミステリから日本推理
作家協会が選び抜いた珠玉の13作。
日本推理作家協会唯一の公式短編ミステリー選集!
巻末に佳多山大地氏による『推理小説・2011年』、
さらに推理小説関係の受賞作を網羅した「受賞リスト」
を掲載。
ミステリファン必読必携、完全保存版の一冊!
★ここだけの話
今年も7月がやってきました。
7月と言えば毎年必ず出版されるミステリ短編集。
すでに読んでしまった作品も2編ありますが、普段
接していない作家の作品も読めますので、これは大変
うれしいことです。
今回も良い作品ばかりで感激しました。
「望郷、海の星」湊かなえ
平成24年度日本推理作家協会賞短編部門受賞作。
小学生の時に失踪した父親の行方と、親切にして
くれたおっさんの思い出。
胸にジーンとくる作品です。
「三階に止まる」石持浅海
誰もボタンを押さないのに、必ず3階に止まる
エレベーターの謎に迫ります。
「ダークルーム」近藤史恵
同棲中の写真専門学校の同級生が姿を消した。
3年後の個展で、その理由に思い当たります。
「超越数トッカータ」杉井光
蒔田は自分の作った曲が盗作だと疑られます。
その時リカコは円周率3.141592……をメロディ化
してピアノで弾かせます。
どんなメロディも円周率の中にあらわれると。
「言うな地蔵」大門剛明
「言わない」ことが男2人の重荷となっていた
30年前の殺人。
その真実が明らかになります。
「新陰流“月影"」高井忍
仇討ちの場で偽柳生十兵衛を成敗します。
その裏にかくされた謎に本物の十兵衛が迫ります。
「原罪SHOW」長江俊和
人が死ぬ瞬間を見せる闇のツアー。
最後は取材している本人が巻き込まれます。
「オンブタイ」長岡弘樹
以前読みました。
二人羽織を連想します。
「現場の見取り図 大べし見警部の事件簿」深水黎一郎
マンションの一室で男の刺殺体が発見されました。
冒頭の見取り図に答えがあったのです。
「足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』」三上延
私の大好きなビブリア古書堂シリーズの作品です。
何度読んでも栞子さんには惹きつけられます。
「この手500万」両角長彦
世に出してはいけない金をめぐる男たちの争いです。
こんなにうまくいくなんて想像できないです。
「死人宿」米澤穂信
遺書の一部が見つかり、宿の宿泊客の中から自殺
志願者を推理します。
しかしそれだけではありませんでした。
「残響ばよえーん」詠坂雄二
「ぷよぷよ」というゲームと初恋の記憶を絡めて
書かれています。
彼女の謎めいた行動が、今明らかになります。
去年から装丁が変わり、軽く、薄く、そして安くなり
ました。
持ち歩けるようになったのは大変ありがたいです。
汗をかきつつ短編集を読む。
今年もこの幸せを味わいました。