●首藤瓜於 『大幽霊烏賊 名探偵面鏡真澄』 講談社 | 新・駅から駅までウォーキング

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メモ精神の 狂気を探る ミステリー本


首藤瓜於 『大幽霊烏賊 名探偵面鏡真澄』
                   講談社 2012.6.27発行 

大幽霊烏賊 名探偵面鏡真澄/講談社
¥2,100
Amazon.co.jp


★本の内容(Amazon.co.jpより引用)


昭和のはじめ、日本で最初にできた専門精神科病院で
起きた凄惨な事件。
新米医師の使降醫が、博覧強記の天才・面鏡真澄と
ともに謎解きに挑むと、病院幹部たちが絡んだ忌まわ
しい過去と繋がっていた。
謎の患者「黙狂」は何者なのか。
元クジラ捕りが見た「烏賊」の意味するものとは。
異能の乱歩賞作家による驚愕の精神医療ミステリー。


★ここだけの話


この本の著者である首藤瓜於(しゅどう・うりお)は
2000年に『脳男』で江戸川乱歩賞を受賞しました。
以来、人間の脳と精神、微妙に感じる狂気などを中心
に作品を発表しています。


今回の舞台も、著者の得意中の得意、精神病院です。
時代は昭和のはじめ、日本で最初にできた専門的な
精神病院、葦沢病院に主人公の使降醫(しぶりいやす)
が面鏡真澄(いじかますみ)とともに赴任してきます。


そこで患者のひとりがクジラを海の底に引きずり込む
巨大な烏賊の話をします。
幽霊となって現われる烏賊を、謎の患者「黙狂」が
頭の中に吸い込んだと言うのです。


こうした現実とはかけ離れた世界にどんどん浸って
いきますと、何だかこれが正常な世界のように思えて
くるから不思議ですね。


患者たちを診ているうちに、病院幹部たちが過去に
犯した事件にせまっていくところが見どころ、読み
どころです。
また、事件解決後の主人公の生き方にも変化が出て
きます。
それは過去に自分の犯した罪を思い出してしまった
からです。


途中で主人公の二重人格的な部分も明らかにされ、
それではこの場合、名探偵はどういう位置づけなのか
と疑問に思います。


最後は30数年後の主人公が名探偵に書いた手紙で
締めくくっています。
彼のその後の人生、告白めいた内容、自殺願望などが
読みとれます。
彼のこれからがどうなるか、全く予想できないうちに
この小説は終わります。