お疲れ様 完結オペラ 三部作
山田正紀 『ファイナル・オペラ』
早川書房 2012.3.25発行
- ファイナル・オペラ (ミステリ・ワールド)/山田 正紀
- ¥2,100
- Amazon.co.jp
★本の内容(Amazon.co.jpより引用)
日本推理作家協会賞・本格ミステリ大賞受賞作
『ミステリ・オペラ』三部作完結!!
昭和二十年東京。
八王子の神社の神主を務める明比家に伝わる秘能。
それは、衆人環視の状況下で如何にして母親が子殺し
の人買いに復讐したかを観客が推理する、世界最古の
探偵小説というべきものだった。
内容に呼応するように、上演中、演者が何者かに殺さ
れる。
身近な悲劇と終戦目前の歴史的悲劇に人はどう立ち向
かうのか。
若き日の“検閲図書館”黙忌一郎が導く驚愕の真相!
著者渾身の本格伝奇ミステリ。
★ここだけの話
『ミステリ・オペラ』『マヂック・オペラ』に続く第3弾。
その名の通り、今回でオペラ・シリーズは終わりです。
この小説の舞台は昭和20年、終戦前夜です。
八王子長良神社の神事を行なう明比家に伝わる、秘能
「長柄橋」の上演前に、一族と関係者が集まり、過去
に起きた事件の謎解きが始まるのです。
それは14年前、昭和6年に起きた不幸な出来事。
未解決だった事件が“検閲図書館”黙忌一郎により
解明されていきます。
昭和の初めの時代背景がしっかりと描かれているので、
違和感なく入っていけます。
しかし、「能」の世界は全く知りませんので、正直
理解できないところもありました。
例えば、舞台とその周囲の図面とか、能面や装束の
イラストがあったなら、もっと馴染めたかもしれま
せん。
私のイメージできる範囲を超えていました。
難解な感じがしたのは、そのせいかもしれません。
思い起こしてみると最初の「オペラ」はモーツァルト
の「魔笛」でしたが、最後の「オペラ」は「能」だっ
たことになります。
終戦前夜の出来事ではありますが、疑問もいくつか。
青年はなぜ、憲兵隊に殺されてしまうのでしょう?
いったい広島、長崎はどうなってしまうのでしょう?
セーフか、アウトか、その判断ができませんでした。
全体のストーリーはおもしろかったのですが、結末に
モヤモヤ感が漂ったままです。
最後に、シリーズの他の2作をご紹介します。
『ミステリ・オペラ』(Amazon.co.jpより引用)
- ミステリ・オペラ―宿命城殺人事件 (ハヤカワ・ミステリワールド)/山田 正紀
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平成元年東京。
編集者の萩原祐介はビルの屋上から投身、しばらく
空中を浮遊してから墜落死した。
昭和13年満州。
建国神廟の奉納オペラ『魔笛』を撮影すべく「宿命城」
へ向かう善知鳥良一らの一団は、行く先々で“探偵小説”
もどきの奇怪な殺人事件に遭遇する。
そして祐介の妻・桐子は亡き夫を求めて、50年の歳月
を隔てた時空を行き来することに…
“検閲図書館”黙忌一郎が快刀乱麻を断つ第55回日本
推理作家協会賞受賞作。
第2回本格ミステリ大賞受賞。
『マヂック・オペラ』(Amazon.co.jpより引用)
- マヂック・オペラ --二・二六殺人事件 (ハヤカワ・ミステリワールド)/山田 正紀
- ¥2,100
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二・二六事件前夜。
置屋の密室で芸者が刺殺された。
詳細は「“乃木坂芸者殺人事件”備忘録」と縊死した
囚人の手による「感想録」に綴られていた。
“検閲図書館”黙忌一郎の依頼で調査を始めた特高警察
の警部補が遭遇する奇怪な出来事…。
黙が追いかけたドッペルゲンガーとは?
昭和維新の影に潜む恐るべき陰謀とは?
『ミステリ・オペラ』に続き、昭和史を探偵小説で描く
“オペラ三部作”の第二弾。
3冊とも昭和初期から20年までを描いた大作。
ミステリ95%、SF5%が合体した傑作だと思います。