●京極夏彦 『定本 百鬼夜行 陽』 文藝春秋 | 新・駅から駅までウォーキング

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メモ京極の デビューの頃が 懐かしい本


京極夏彦 『定本 百鬼夜行 陽』 
             文藝春秋 2012.3.20発行 

定本 百鬼夜行 陽/京極 夏彦
¥1,838
Amazon.co.jp


★本の内容(Amazon.co.jpより引用)


悪しきものに取り憑かれてしまった人間たちの現実が
崩壊していく…。
百鬼夜行長編シリーズのサイドストーリーでもある
妖しき作品集、十三年目の第二弾。
京極夏彦・画、書下ろし特別附録「百鬼図」収録。


★ここだけの話


直木賞作家、京極夏彦の最新作です。

著者はデビュー作の「姑獲鳥の夏」から京極堂のシリ
ーズを書き、「邪魅の雫」まで9作目が既刊となって
います。
どれも第2次世界大戦後まもない時代を舞台に起こっ
た奇怪な事件を中禅寺秋彦が解決していきます。
彼が東京の中野に開いた古書店の屋号が「京極堂」で
あったため、これらのシリーズは京極堂シリーズと
呼ばれるようになりました。

また、このシリーズは大変な長編として有名で、発売
当初のノベルズも、その後の文庫もかなり分厚い本と
なっています。


『定本 百鬼夜行 陽』は、京極堂シリーズのサイド
ストーリーとしての短編を集めたもの。
全部で10作品が載せられています。


1作目の「青行燈」には、由良家の蔵書の処分を一任
された中禅寺秋彦が登場します。


今回の物語には直接関係していないのですが、古書店
があると言われている場所は、私の実家の近所という
設定です。
中野区の東端、住所で言うと「新井」「上高田」の
周辺で、結構寺院や神社も多く、まただらだらと続く
上り道の説明など、全くその通りという場所があった
のを覚えています。
(私の実家は隣接している新宿区西端にあります)

中禅寺秋彦の登場場面は少ないので、あの有名な口癖
「この世には不思議なことなど何もないのだよ」と
言ったりしてません。


それから10作目「目競」の主人公は薔薇十字探偵社
の榎木津礼二郎です。

彼は子爵家の次男で、中禅寺の旧制高校の1期先輩で
探偵というよりも天衣無縫に暴れまわる役どころです。
子供の頃から、「他人の記憶が見える」という特殊
能力がありました。
親からもらった金で神保町にビルヂングを建て、探偵
を始めるくだりが書かれています。
この時、中禅寺の読んでいた本の名前から、薔薇十字
探偵社と名付けました。
昭和25年の秋のことです。

ちょうど私が生まれた直後のことになります。
(私は昭和25年8月の生まれです)


場所的にも、時代的にも、自分に関連しているせいか、
違和感なく楽しく読めました。


1999年に刊行された『定本 百鬼夜行 陰』も、今回
同じ装丁で同時発売となりました。


定本 百鬼夜行 陰/京極 夏彦
¥1,838
Amazon.co.jp



一気に2冊読むことで、京極夏彦の世界にどっぷりと
つかれて大変満足しました。

京極堂シリーズの新作は、来年あたり発売されると

いいな、と思ったりしています。