綾辻行人 『奇面館の殺人』
講談社ノベルズ 2012.1.5発行
- 奇面館の殺人 (講談社ノベルス)/綾辻 行人
- ¥1,344
- Amazon.co.jp
★本の内容(Amazon.co.jpより引用)
似すぎた男との出逢いが推理作家・鹿谷門実を奇怪な
館へと誘う。
待ち受けるはいかなる難事件か?
「十角館の殺人」にはじまる綾辻行人の「館」シリー
ズ、待望の最新刊!
奇面館主人・影山逸史に招かれた六人の男たち。
館に伝わる奇妙な仮面で全員が“顔”を隠すなか、
妖しく揺らめく“もう一人の自分”の影…。
季節外れの吹雪で館が孤立したとき、“奇面の間”に
転がった凄惨な死体は何を語る?
前代未聞の異様な状況下、名探偵・鹿谷門実が圧巻の
推理を展開する。
名手・綾辻行人が技巧の限りを尽くして放つ「館」
シリーズ、直球勝負の書き下ろし最新作。
★ここだけの話
綾辻行人との出会いは1987年のデビュー作でしたから
ちょうど25年のお付き合いとなります。
京都大学推理小説研究会出身で、島田荘司の後押しを
受け、鮎川哲也の推薦文をつけて「十角館の殺人」で
作家デビューしました。
本格物の「館」シリーズのほか、ホラー、サスペンス
と幅広く活躍しています。
夫人は、同じく作家の小野不由美です。
「館」シリーズは、
・1987年 「十角館の殺人」
・1988年 「水車館の殺人」
・1988年 「迷路館の殺人」
・1989年 「人形館の殺人」
・1991年 「時計館の殺人」
・1992年 「黒猫館の殺人」
・2004年 「暗黒館の殺人」
・2006年 「びっくり館の殺人」
・2012年 「奇面館の殺人」
の9冊ですが、作者が10冊書くと言っているので、
いよいよ残り1冊となりました。
でも、若い時と違って、最近は書くペースが次第に
遅くなっているようですので、次はいつ発売されるか
わかりません。
さて今回、推理作家で名探偵の鹿谷門実(ししやかど
み)は、自分に良く似た同業者の頼みを受けて奇面館
に向かいます。
そこで大雪にとざされ、電話を壊され、外部との接触
が断たれた中で殺人がおこります。
この建物の中では、全員が仮面をかぶり、顔を隠した
状態でいるため、犯人探しが複雑になりますが、さす
が名探偵の推理により意外な人物が犯人だとわかりま
す。
シリーズを通して楽しみなのは、どの「館」も天才建
築家、中村青司が建てた建物で事件がおこるというこ
とです。
なぜなら中村青司は建築の依頼者の要望を満たすだけ
でなく、必ず彼独自の隠し通路や抜け穴や隠し部屋を
作っているからです。
全部が、ただの「館」ではありません。
ここに惹かれるように鹿谷門実が事件に巻き込まれる
わけです。
彼の「先代」の勘違いがキーポイントですね。
自分に良く似た人、同姓同名の人、これらが非常に
気になってきます。
世の中にどのくらいいるのでしょう。
まさか、どこかで探したりはしていないでしょうね。
もちろん私は「もう一人の自分」を求めてはいません
から。
デビュー以来、新本格派と呼ばれて、はや25年。
新しいトリックで、ビックリさせ続けた25年。
ということは、1/4世紀の間、綾辻行人を読み続けて
きたわけで、いつも新刊の発売日に必ず書店に出かけ
ていました。
そして大体1日で読み終え、2日目からはじっくり
味わいながら、あるいは検討しながら読むことにして
いました。
今もミステリを読むスタイルは変わりありません。
そしていつも、上手にだまされることを期待している
のです。
「館」シリーズも残すところ、あと1冊です。
首を長くして待つことにします。