WELCOME 「君を想って海をゆく」
英国と大陸の間に大きく横たわるドーバー海峡。
パスポートを所持していれば、全長約51km、
海底下38kmのドーバー海峡トンネルを使って
大陸フランスのカレーから島国英国には楽に入ることができる。
WELCOME(邦題「君を想って海をゆく」)は、
恋人が移住した英国へ密入国することを目的に、
戦禍のイラクから3ヶ月をかけて4,000kmを歩いて
フランスのカレーに辿り着いたクルド難民の17歳の少年ビラルと、
この地でスイミングプールのコーチをして生計を立てている
離婚調停中の元水泳選手のシモンが出会い、
少年ビラルの一途な心と触れあうことで、
心に穴が空いた中年男シモンが蘇生する物語であり、
クルド難民に対するフランス政府の無慈悲な政策を描いた
作品である。
個人的に難民を助けることは犯罪として処罰される、
フランスの田舎町で、少年ビラルの面倒を見るシモンを
快く思わないアパートの隣人の玄関マットに記された言葉が
アイロニカルな「WELCOME」。
英国への密出国を徹底的に取り締まるフランス当局の手で、
陸路による英国への密入国を断念したビラルは水温10℃で
10時間はかかる急流の海流が渦巻く漆黒のドーバー海峡を
泳いで渡る事を決意する。
家族からはビラルと接触することを禁じられた英国に住む
恋人ミナに対するビラルの一途な思い、ボランティアの一員
としてクルド難民に食事の支援をしている別居中の妻マリオンへの
シモンの深い思い。
「彼が海を渡るのは恋人のため、自分はそばにいる君すら手放す」
式の花束そして表情にシモンのすべての思いが込められた、
フィリップ・リオレ監督の2009年の作品。







