隣んちの音楽~kuniのクラシック音楽~ -7ページ目

第29稿 「声楽の世界:樹木の蔭で(ラルゴ)」

 前々回の第27稿ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルについて述べました。
 彼は同時代に生きた「音楽の父」ヨハン・ゼバスティアン・バッハと異なり、華麗なイタリアンスタイルで聴衆を惹きつけました。
 今回ご紹介する曲はオペラ「セルセ」で歌われるアリアで、幕が上がって始めの頃に歌われます。
 この曲の旋律はヘンデルが作ったものではないと言われています。内容は、自分の婚約者であるプラタナスを、「プラタナスの樹木」に重ねながら愛を歌うアリアです。
 このオペラ。ヘンデルの作品としては少々珍しいコミカルな作品です。
 概略:昔のペルシャ「クセルクセス」の王様「セルセ王」は、自分の弟と相思相愛の「ロミルダ」に一目惚れ。ロミルダを手に入れるために色々と手を回すのですが、最後は婚約者のプラタナスに怒られ、しかたなく弟とロミルダの結婚を許します。
 なかなかのおバカぶりを発揮しています。
 しかし、曲自体は非常に美しく有名なので、色々な歌手が歌っています。
 内容はコミカルですが、曲自体の美しさを味わってみてください。
 ちなみに、セリフ歌(レチタティーヴォ)はカットしています。

 (題名の(ラルゴ)に意味はありません。音楽の速度で「ゆったり」を表しており、題名とセットで呼ばれるようになっただけです。)

Placido Domingo - Ombra mai fu (Händel)


Ombra mai fù   こんな木陰は存在しなかった
di vegetabile,  
cara ed amabile, 親しく、そして愛らしく、
soave più     (これほど)やさしい(木陰はなかった)

※個人的な訳なので、少々おかしいかもしれませんが、ご了承ください。


第28稿 「ア・カペラの美しさ」

 皆さんにとって、ア・カペラとはどんなイメージでしょうか?
 一般的には、「ゴスペラーズ」や「インスピ」といったアカペラグループが有名ですね。
 「ア・カペラ(a capella)」はイタリア語で「聖堂の中で」という意味があります。
 もともとはクラシック音楽の中の、特に聖歌から生まれた音楽形態なんです。
 約11~13世紀に活躍した、ノートル・ダム楽派という集団によって、ア・カペラの原型「オルガヌム」が広がりました。
 今のようにオーディオ機器の無い時代の人々にとって、教会の音楽とは、一種の娯楽でもあったので、教会音楽と民衆は強い結びつきを持っていました。
 そんな中、1500年代に現れた作曲家「ジョバンニ・ダ・パレストリーナ」は、非常に美しいア・カペラを残しました。
 その美しさは当時の人々を強く魅了し、ますます教会との繋がりを深めていきました。

 現代では、色々なポップスグループがア・カペラを演奏しており、その軽快な演奏スタイルは現代のポップな流行によく合います。私も好きです。
 ただし、今回ご紹介する音楽は、原型である「クラシックのア・カペラ」の美しさを味わって頂きたいと思い、1500年代に流行したパレストリーナの作品と日本の現代クラシック版ア・カペラグループを代表するアンサンブル・プラネタの演奏をお届けします。
 ポップスのア・カペラとは違った、「響きの美しさ」に注目してみてください。

The Tallis Scholars sings Palestrina


Romance de Amor_Ensemble Planetaアンサンブル・プラネタ/(愛のロマンス)



ペタしてね



第27稿 「声楽の世界:Lascia ch'io pianga(私を泣かせて下さい)」

 「音楽の父ヨハン・セバスチャン・バッハは、バロック時代(1600~1750年頃)にドイツを中心に活躍した偉大な作曲家です。
 そして、同歳で同じバロック期にイギリスで活躍したのが、同じドイツ人のゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルです。
 二人は同じバロック期にありながら、異なる雰囲気の音楽を残しています。
 バッハの作品は、宗教的音楽教育的な作品が多く、また、バロックの集大成である「フーガ」(「カエルのうた」が簡単なフーガ)が特徴的です。
 対して、ヘンデルはイタリアで学んだ、イタリアスタイルの作曲法でイギリスの聴衆を惹きつけ、また、「オラトリオ」作品群(ハレルヤが代表的)の成功により、不動の地位を獲得しました。
 今回紹介する曲は、ヘンデルが作ったオペラ「リナルド」の中より、ヒロインのアルミレーナが、愛する人リナルドへの貞節を守ろうとする心を歌ったアリアです。 
 岡本知高、サラ・ブライトマン、ヘイリーなどが歌っていますが、今回はバロック作品の表現が上手いカウンター・テナー歌手のフィリップ・ジャルスキー(ちょっとナヨナヨしてます)をご紹介します。

 ちなみに、この歌の直前にあるレチタチィーヴォ(セリフ歌)はカットしました。



Lascia ch’io pianga la dura sorte 過酷な運命に涙し、
e che sospiri la libertà.      自由に憧れることをお許し下さい。
Il duol infranga queste ritorte   私の苦しみに対する憐れみだけによって
de’ miei martiri sol per pietà.  苦悩がこの鎖を打ち破ってくれますように。

※参考「イタリア歌曲集」(全音楽譜出版社) 対訳:戸口幸策