二世教育の将来を共に考える
はじめに
私は長い間カープの責任者として若者の伝道やその教育を担当してきました。2004年からは二世教育や家庭指導の為にアメリカの主要都市で巡回講義を始め、2008年からは教会本部で、特に二世祝福用の講義案や指導内容等もまとめて来ました。そのなかで色々な祝福子女の状況を見てきましたし、アメリカだけでなく日本や韓国の二世教育の責任者の方々とも色々と話し合ってきました。
そこで、まず二世祝福についての一般状況と その教育に関する私の意見を、御父様の御言葉と顕進様のご指導内容、更に私が最近までニューヨーク市の学校教師として一般の青少年やその親達を指導してきた経験等も踏まえてこれから少しづつ述べていきたいと思います。
二世教育の問題点
皆さんもご存知の事と思いますが、先ず二世祝福の問題点として挙げられるのは、一番目には祝福に行く前に失敗してしまう二世が以外に多い事です。更に二番目としては、外的に純潔を守れても祝福に行きたがらない二世が増えてきた事、三番目には祝福を受けても簡単に壊してしまうカップルが増てきた事等が挙げられると思います。そして、これはアメリカだけの問題ではないことは、各国の二世教育の責任者の話を聞いても明らかです。
そして、その殆どの原因が祝福を受けるまでの教育にある様です。三番目の問題は、相性の件やマッチング・プロセスの内容も含まれていて、私の次元を越えた問題でもありますので ここで取り上げるのは控えたいと思います。
二世は何を学ぶべきか?
御父様はイースト・ガーデンの訓読会で二世達にしばしば「あなたたちは もっと自らを知らなければいけない」と言われました。更に、顕進様も二世教育の中心はアイデンティティー教育であることを何度か強調されました。それでは、そのアイデンティティー教育とは何かと簡単に言いますと、それは子供達に祝福子女としての血統に対する確信を持たせ、将来の祝福に対する決意を促し、それと同時に神の御旨に対する責任心情を与えるものであると言えます。
更に顕進様は、二世達は一旦自分のアイデンティティーに対する正しい確信が持てると、後は回りの指導さえしっかりしていれば、他人からのプッシュはいらず、自ら進んで活動し成長し始めるとも言われました。逆に言えば、自分のアイデンティティーがハッキリしていない子供達は中学生位までは親の言う事を聞いて教会の活動や集まりに参加していても、高校生位から少しづつ変り始め 大学や祝福の時期になってくると親の言う事を聞かなくなってきます。そして勿論、我々の活動からも遠くなってしまいます。つまり、このアイデンティティー教育というのは単に親に対して素直であるというだけでは 簡単には成就されないものと言う事になるでしょう。
アイデンティティー教育とは何か?
それでは次に、そのアイデンティティー教育を如何に成すかと言う事ですが、我々一世におきましては、「原理」こそが「食口」になる為の言わばアイデンティティー教育とされてきました。二世教育に於いても 特に中学生以上の場合は やはり「原理」を学びながら 高学年になるに従って「信仰生活」「摂理」「血統」「祝福」等の内容を順番に学んでいくのが、一般的な過程とされてきました。更にその中で、内的には神様と父母様の「心情」を学び相続していくと言うのが大まかな目標となっていました。
更に二世教育の特徴として挙げる事は、同じ「原理」でも「堕落論」や「復帰原理」に比べ「創造原理」がより重要であると言う事でしょう。顕進様はその教育指導の中で 何度もその事を述べておられますし、いろいろな教育者の仲でもこれは基本的に意見が一致しています。私はそれを講義形式だけでなく、ゲーム、アクテイヴィティー、ディスカッション、科学的検証などを含めた総合的教育方式で「神は親であり愛である」というポイントを中心として 何度も繰り返しやっていくべきだと思います。
出発としての価値観教育の必要性
しかしながら、そのような「原理」を中心とした総合教育を続けていっても いまだに神の存在を自分自身の問題としてとらえきれない子も沢山います。勿論 個人差や男女差はありますが、一般的に大学や祝福を受ける頃の年齢になってもそうである子は「原理」や「創造原理」以前の問題があり、人生において何が最も大切で 本当の幸福とはなにかということがハッキリしていない場合が多いのです。いわば「総序」レベルの段階で詰まっているのです。
(2011年10月07日付)