岸田氏が自民党総裁に選ばれました。
私は以前にアップしたコラムで、「岸田氏が一番真っ当なことを言っている。」、だから選ばれるなら岸田氏がいいだろうと述べました。
どこでどのような力学が働いたか分かりませんが、岸田氏が圧勝しました。まずは一安心です。
私は岸田氏の主張の詳細を承知していないのですが、キャッチフレーズ的と言うか断片的なフレーズから推察すれば、次の3点が経済政策としての肝だろうと思います。
①所得を拡大する。
②所得分配を庶民に厚くする。
③新自由主義的立場から脱する。
上記3点は、それが実現できるなら誰もが歓迎することだろうと思いますし、長期政権になることは間違いないでしょう。そして日本経済は着実に良くなるでしょう。
嘘を吐くしか芸の無かった安倍晋三でさえ8年も首相が出来たのですから、10年が20年でも続けられると思います。
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では、上記3点は実現可能なのでしょうか? そのことを論じてみたいと思います。
①所得を拡大する。
付加価値購入に使った金の合計が「総需要=総所得」ですので、金さえ使えば所得を拡大することが簡単に出来ます。
現在は民間が金を使いませんので、政府が借金をして使えばよいわけです。つまり「政府の負債は国民の所得」であり、そのことは過去にも経験のあることですし、最も実現しやすいものでしょう。
②所得分配を庶民に厚くする。
これは意外に難しいことだと思います。
そのことは以前にも下記のような記事をアップしていますので再読いただければと思います。
今得ている分配分は誰もが死守するでしょう。なので今の所得分配に手を付けられないと思います。
しかし、所得を拡大させる中で、拡大分を庶民に厚くするような施策は可能でしょうから、徐々に分配率を変える以外に道は無いと私は思っています。
③新自由主義的立場から脱する。
実はこれが一番難しいことだと思っています。
なぜなら、今の人たちには現代経済学(つまり新自由主義経済学)が使う用語でしか経済に関する議論出来ないほど、新自由主義が深く浸透しており、これから脱することなど世代が変わらないと無理でしょう。
MMTなど「新自由主義経済学の権化のようなもの」なのですが、深く信じている人が多数あり、その教義を広めるべく努力しているのが現状ですから。
かつて大学の経済学はマル計(マルクス経済学)一色であり、それからの脱出は世代が変わるのを待たねばなりませんでした。それほど根は深いと思います。
まあ、「大学の経済学部出身者は政府機関では採用しない」といったドラスティックな策を実施しないと、新自由主義経済学を根絶やしには出来ないでしょう。
「自由競争」が全ての経済的利益をもたらす根源である、などという反吐の出そうな主張など早く葬り去るべきです。自由競争は「強者必勝・弱者必敗」で格差を拡大させるのみに有効な手段です。
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結論から言うと、「所得拡大」が最も実現可能な施策であり、少なくともこれだけは実現させてもらいたいと思います。
やれるかどうかは分かりませんが若干の期待は寄せたいと思います。