MMT信者の唱える世迷い言 | 気力・体力・原子力 そして 政治経済

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原子力と経済についてはうるさいですよ!
 (旧有閑爺いのブログ)

 MMT信者の有力代表は、ネット界ではおそらく「三橋・藤井・中野」の3人衆でしょう。その他にも自称・他称を問わず「経済学の権威」なる方々にもMMT信者はおられるでしょうが、素人受けするのは「三橋・藤井・中野」の3人衆だと思います。

 MMTなるものを信じようと信じまいとそれは各人の勝手でありますし、信じたことを披露することも勝手です。
 しかし、その披露する中身が「どう見ても犯罪だろう」としか言えないものがあり、このことは指摘をして糾弾しておくことが必要であると私は思っています。

 本日の三橋ブログに「それをやれば犯罪でしょう」ということが書かれていましたので、そのことを紹介するとともに、世のMMT信者の述べることは所詮は全て「世迷い言」であるということを説明したいと思います。

 まずは、信者ですので当然のことながら「信仰告白」があります。それがブログに書かれた下記の文言です。
 
 MMTは「理論」つまり「学説」です。経済学が述べる「学説」は全て「仮説」であり、証明されたものは何一つ存在しません。理論は証明されたとき事実として認識されるのですが、それ以外は仮の話にしか過ぎないもので、信じるか信じないかの対象でしかないものです。
 つまり上述の文言は、結局のところ「私はMMTを信じます」という単なる信仰告白に過ぎないものです。

 次に「説明しているだけ」という言い草をMMT信者は頻繁に使用しますが、「理論」は「説明」ではありません。「理論」は「説明」に加えて、「そうした事態や事象が生じるのは、あるものがかくかくしかじかであるからだ」という理屈が存在しなければなりません。
 すなわち「貨幣の仕組みはこうです」に加えて、「その仕組みは、かくかくしかじかであり、そのことがあるがゆえに皆が受け入れるのだ」と言った理屈が必要です。それが無いなら、MMTは「今日、**で火事がありました」という報道(つまり起きた事の説明)と何ら変わりが無いのであり、およそ「理論」と無縁のものです。

 また、MMTと比肩する対象として「万有引力の法則」を三橋氏は持ち出しましたが、この法則があまねく成立していると現代の物理学の範疇では信じられてはおらず、非常に議論の多い話題であります。
 言うなら、ニュートン力学は基本的に近似式であるということを、アインシュタインが原爆で証明した後では、ニュートンが述べた学説は批判の対象であり、研究課題であるわけです。

 つまり、今のところ「MMT」も「万有引力の法則」もある限られた条件でしか成立しない「学説」と考えた方がよいということです。

 次に、MMTというものを信じると、どんなことを言いだすかということを紹介します。具体的には下記に示した文言がそれです。
 
 結論から言いますと、このことが出来る銀行は現在の日本では「日本銀行」のみです。
 哀れなことにドイツやフランスは自国内に自国の権限でそうしたことが出来る銀行は存在しません。
 米国には12の銀行(連邦準備銀行)がそれをできます。
 実は、明治時代にはそのことが出来る銀行はかなりと言うか非常に多く(153行)ありました。

 で、三橋氏の狡猾なところは「市中銀行が日本銀行がしているようなことをしている(つまり銀行券を発行している)」と思わせるような書き方をしていることです。そのことを具体的に説明します。

 まず、市中銀行が借り手に金を貸す場合に、現金を引き渡すチャンネルとして預金口座を利用することは、普通にあることです。その場合預金口座の残高は貸金分だけ増えます。なので上記の記述の後半部分は間違いではありません。

 で次は、預金口座の残高を増やすという書き込みは誰がやるかです。当然のことながら当該銀行の銀行員が行います。
 銀行員は口座の残高を増やす場合には、入金の確認を必ずします。窓口に持ち込まれた現金・小切手あるいは送金データがそれです。
 つまり入金を確認せずに預金残高を増やす行為は不正経理であるのです。預かってもいないものを預かったと嘘を吐くわけですから、虚偽記載であり、当然のことながら「お縄頂戴」となる犯罪行為です。

 では、市中銀行が金を貸すときに、預金口座を利用するときのことですが、その場合に預金口座の残高を増やすという書き込みを当該の銀行員が行います。当然のことながら「預かった」と書くのですから現金の所在を確認します。
 借り手は現金がないから借りるのであって、借り手が現金を窓口に持ち込むはずもありません。即ち、銀行員は自行に貸すべき資金が存在することを確認するのです。貸すべき資金が無いのに「預かった」と書けば虚偽記載であり不正経理です。しかも借り手は「借用書」を持ち込むわけですし、それを取り上げてしまうのですから「借用書取り込み詐欺」に該当する行為です。

 自行に存在する貸すべき資金とは「資金調達」で得たものです。従って「資金調達」をせずに、つまり貸すべき資金が無いのに口座残高を増やすということは、極めて性質の悪い犯罪行為なのです。

 やれば犯罪になることを堂々と書くことが「MMT信者の得意技である」と私は常々申しているのですが、今回もそれを繰り返したわけです。
 おそらく三橋氏は自分が述べたことが犯罪になるとは思っていないでしょうし、市中銀行も三橋氏が信じ述べているようなことはやっていませんので、所詮は「MMT信者の唱える世迷い言」です。

 因みに蛇足ですが、日本銀行が資金調達をせずに口座残高を増やせるのは、預金引出し請求があれば、紙幣を印刷して渡せるからです
 市中銀行は預金引出し請求があれば、手持ちの日本銀行券を渡すしかないのであり、「手持ちの日本銀行券」とは資金調達により得るしかないものだからです。

 三橋氏の述べたことを信じようと信じまいと各々の勝手ですが、世には淫祠邪教と言われるものがありますので、ご用心のほどを。