時間との向き合い方
フラは一朝一夕で身につくものではなく、時間をかけて心と身体の両面を育てるものです。ですが、仕事や家庭のスケジュールがある中で毎日何時間も練習するのは現実的ではありません。
私が心がけているのは、「短い時間でも心を込める」ということ。10分でもいい、朝の静かな時間にオリを唱える。昼休みにハワイ語の歌詞を一節だけ読む。そんな小さな積み重ねが、確実にフラとの繋がりを深めてくれます。
フラが仕事に与える影響
興味深いのは、フラが単なる趣味や余暇の活動に留まらず、仕事の質や人間関係にも良い影響を与えていることです。フラの稽古を通して培われる集中力、チームワーク、リーダーシップ、そして相手を思いやる心——これらはビジネスの現場でもそのまま生かせる力です。
実際、フラの仲間の中には企業でリーダーシップを発揮したり、接客業でお客様への気配りが自然にできるようになったりと、仕事での変化を感じている方も多いです。
共存のための工夫
フラと仕事を共存させるには、いくつかの工夫があります。
計画的に学ぶこと:無理に時間を作るのではなく、生活のリズムに合わせて練習時間を組み込む。
オンラインや動画の活用:地方にいてもZoomや動画を通して学べる環境を整える。
仲間と支え合う:同じように忙しい中でフラを続ける仲間の存在は、大きな励みになります。
未来に向けて
フラを学び、教え、舞台に立ち続ける中で、私がずっと心の片隅に抱えてきたのは、「日本人としてフラを続ける意味」でした。私はハワイ人ではないし、私の生徒もハワイ人ではありません。ハワイには血筋や家系を重んじる文化が根強くあります。だからこそ、フラを知れば知るほど、自分が歩んでいる道は正しいのか、いくら努力しても本当にハワイに受け入れられる日は来るのか──そう悩むこともあります。
コンペティションに出場し、自分のフラの立ち位置を再確認しながら向き合ってきましたが、ハワイのクムフラたちは日本人の私たちをどう見ているのだろう? 周囲からは、ハワイ人と日本人の間でロマンス詐欺のようなことがあると耳にすることもあります。
ハワイの人々の「イエス」がなければ、どんなに努力しても「イエス」にはならない。正しいと思って調べ抜いたことでも、「ダメ」と言われたらダメなのです。
そんな現実に直面するたびに、日本人としてフラをやり続けるには、忍耐と覚悟が必要だと痛感します。けれども同時に、この文化に惹かれ、学び続けたいという気持ちもあります。ハワイに完全に認められることだけが目的ではなく、フラに自分なりに誠実に向き合い、次の世代へと繋げていくことこそが、私の歩むべき道なのかもしれません。
心から理解し応援してくれるハワイの人々がいる一方で、頭ごなしに日本人を卑下する人々がいるのも事実です。ハワイに対する憧れが強すぎると、相手を神格化し、「ハワイのためなら何でもする」となり、感覚が麻痺してしまうことがあります。
言われるままにお金を払い、その人が本当にハワイでの文化や生活の重みを背負っているかどうかは関係なくなり、その人を通してハワイを見てしまう──そんなことも少なくありません。
昔も今も、海外に恋人を見つける目的で海外旅行に行く人は一定数いるようです。日本から外へ、外から日本へ。
美味しい日本での活動が頻繁にSNSに投稿され、日本人をカモにしているように見える姿には、なんとも複雑で残念な気持ちになります。
かといって、ハワイのツーリズムに少なからず関わっている私たちは、頑張れば頑張るほど悩みも増えていく。
それでも、私は私。応援してくれるハワイの人たちと共に、これからも考え、歩みを続けていこうと思います。