【詩】「父の日」 | 山下晴代の「そして現代思想」

山下晴代の「そして現代思想」

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そしてときどき、詩を書きます(笑)。

「父の日」

6月16日は、ユリシーズの日ではなく、父の日だった。どうせ母の日のついでに商業主義が作った記念日だろう。母の日といえば、カーネーションを贈るのが定番となっている。父の日は、食い物だとか、お酒だとか、洋服だとかいろいろ。
母が、「おじいさん(自分のつれあい)の夢を見た。あ、おじいさん死んでたんだ、と思った」と、半分眠りながら言った。
私は、壁に掛けてある父の写真に向かって、
「おじいさん、父に日しなくてごめんね。だってあんたもう死んでるからね」と手を合わせた。父は神道。仏壇にまつられている。
キリスト教の起源はユダヤである。ギリシアは幾何学。ローマは法。
これら三つが、ヨーロッパの精神の基礎を形作った。
危機は第一次大戦の時やってきた。
と、ヴァレリーは書いている。
ヨーロッパを支える三つの精神のなかで、日本人がいちばん弱いのは、
法であると私は思う。
ヨーロッパに父の日はあるのだろうか?