『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』──最先端のスパイ | 山下晴代の「そして現代思想」

山下晴代の「そして現代思想」

映画、本、世界の話題から、ヤマシタがチョイスして、現代思想的に考えてみます。
そしてときどき、詩を書きます(笑)。

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』ブラッド・バード監督

 国と国の関係は複雑になり、そう簡単には、一国=敵にはならない時代になって久しいが、世の中、ワルモノがいるかぎり、スパイ映画のタネ=ネタはつきない。スパイ映画は、時代との勝負である。時代に遅れてしまったら、もう観客を惹きつけることができない。
 だが、49歳のトム・クルーズはやってくれる。007のように、美女と戯れるヒマもなく全力疾走する。それがすがすがしい。世界最高層のビルを、「素手」で、よじ登る、ハイテク+ローテクの、スイッチングも、ただ荒唐無稽に終わらないリアルさがある。さりげなく背景で、変装マスクが製造される科学的リアリティにも配慮が行き届いている。トムのチームメンバーとなる俳優たちの顔ぶれもフレッシュである。
 そして、毎度お馴染みの、オープニングのあのテーマ曲、アレンジも最先端の雰囲気を漂わせる。誰でもに、「スパイになりたい」と思わせる興奮の2時間である。それにしても、なぜ、イーサン・ハントは、ロシアの刑務所にいたのか? その「はじまり」も隙がない。


Mission: Impossible - Ghost Protoco/マイケル・ジアッキノ

¥1,575
Amazon.co.jp