アンバーを保護したのは8月7日。

 

その数日後、また別の犬を保護しました。

名前は「テスラ」と名付けました。

 

※私達に救助される直前のテスラ

 

実は彼女が子犬だったころから知っていて、水道メーターを囲っている小さな檻の中に突っ込まれていたり、繋がれた鎖が短すぎたため、ゆっくり寝そべって寝られなかったりしていたのをずっと見ていたのですが、路上生活者の人たちが「所有していた」犬なので、どうすることもできずにいました。

 

でもあるとき、彼らが陣取っていた場所で大工事が始まり、強制的に立ち退かされて、犬も見なくなったなぁとおもってたら、

 

とんでもないところからキャンキャン鳴き声がきこえてきました。

 

なんと、

鉄フェンスと木の枝の20センチもない隙間に、

その犬が押し込められていたのです。

 

 

 

この写真で見える葉っぱが見えるところが実は汚いどぶ川が流れていて

犬の飼い主たちがここにゴミ、大便小便を流すのですごい悪臭が立ち込めています。

 

そこに座ることすらできず、サンドイッチにされていました。

 

あんまりにもひどくて見ていられず、旦那がフェンスと枝を大きく曲げ、犬を出してあげました。

するとそこに飼い主の一人のおやじが出てきて

あわてて、またその狭い隙間に犬をねじ込もうとするので

普段温厚な旦那も激高し、

 

「これが人間のすることなのか。犬を飼ってるっていえるのか」

タガログ語で怒鳴るとおやじは

 

「…俺は知らない。じゃあお前ら持っていけ」

 

私たちに押し付けてきたのでした。

 

もう家には先に保護したアンバーがいるし、借りてる部屋は小さいけれど

とても見捨てることはできず、連れてきました。

 

 

 

家に入れると、今まで味わったことのなかった解放感からか、

飛んで跳ねて、寝転び、走り回り、

体いっぱいに嬉しさを爆発させています。

沢山食べ、沢山遊び、体を伸ばして寝られる喜び。

柔らかなマットに感激している様子を見ると

無理してでも連れてきてよかったなと思います。

 

すっかり我が家のメンバーとなりました。

。。。。。。

 

アンバーの場合は、完全なネグレクト。爪も伸び放題で深刻な疥癬に侵され、きちんと食べさせてもらってなかった。

 

テスラは、私たちの家に来るまでずっと外につながれっぱなしだったけれど、

爪は切り揃えられて、それなりにご飯も与えられていたようです。

 

数日たってみんなで外に散歩に出たときに、テスラの前飼い主の一人と出くわし

テスラに笑顔を見せて「おぉ、俺のこと覚えてるのか」とテスラを撫でようとしました。

 

少なくとも彼らの場合は、虐待をしていたつもりはなく、

「動物の面倒を見る」という観点のレベルが

通常よりもただ極端に低いだけだったのかもしれません。

 

犬を身動きできない状態の場所に突っ込んで平気だったとしても

彼らにとってはなんて事のないことだったんでしょう。

もし自分が同じ境遇に置かれたらキツイとかつらいとか

そういう想像はしないということに過ぎなかったんでしょう。

 

それだけです。

 

私は彼らに同情もしないし、当然人間としての尊敬もしない。

 

貧乏だろうが裕福だろうが、

犬猫、子ども。これらをきちんと守ることができない人は、やっぱり少し考えた方がいい。

アンバーもテスラも、元居た場所に行くと震えあがります。

 

動物の保護も、最近やっとこうしてできるようになったのも、

マニラでできた犬友達、団体、動物病院の先生

人のつながりのおかげです。

 

最悪だなって思うこともあるマニラ暮らしだけど、

人の温かさも同時に感じる。それがマニラ。

 

動物保護、できる限りのことをして続けていきたいと思います。

 

 

タガログ語ではアスピン(Asong Pinoy、フィリピンの犬、の意)

またはアスカルと呼ばれています。敬意をこめてアスピンと呼ぶのをフィリピン人は好みますが、実際は全然アスピンは大事にされてません。

 

私たちはもともとパグ(来月で4歳)とパグル(2歳)と一緒に暮らしていますが、

今月になって2匹の雑種犬を面倒を見ることにしました。

 

1匹目は、「アンバー」。

 

 

ちょうどその日は旦那ちゃんの誕生日で、お昼を食べがてらグリーンヒルズというカオスなショッピングモールで遊ぼうと、バスを待っていた時に見つけました。

 

ヒル・プヤット(GIl Puyat)通りは非常にあわただしく、人通りのおおい、そしてとても汚い道で、

そこの街路樹にゴム紐で繋がれてアンバーはギャンギャン周囲に向かって吠えていました。

 

痩せこけ、皮膚はただれて血だらけ。

かわいそうな犬はマニラに住んでいたら頻繁に目にするし、多くの人が「きちんと犬を飼う」ということがよくわかってないようなので、「その辺にいる物売りのだれかの犬なのかな、かわいそうにな」と思ってたら、ガードマンがでてきてその犬をどこかに連れて行こうとしだしたので、

 

捨てられた犬なんだということがそこで初めてわかりました。

 

えーちょっとまって…とその様子を見ていると

ガードマンと目が合い、

 

「マム、あんたこの犬面倒見てやってよ。知らないけどいい子だと思うよ」

 

助かったーというような顔をしながら犬とこっちに向かってくるではありませんか。

 

元々犬を保護することに関して旦那ちゃんはあまりポジティブじゃありませんでした。病気は持っているだろうし、簡単に飼い犬を増やすわけにはいかない。一匹助けたところで、かわいそうな犬猫、そして人間の子どもはゴロゴロいる。自己満足でどうにかなる問題じゃないんだとよく言っていました。私も5年もここに住んでいると、きれいごとで済まないことばかりが起こるこの国で、旦那のいう事も分かるので何も言えずにいましたが

 

どうする?と聞くと、

 

「かわいそうだよ。家に連れて帰ろう。僕たちで面倒見よう」

 

と180度違うことを言い出したので

 

「え?まじ?わ、わかった。いいの?」

 

と狼狽えながらバスには乗らず、犬を抱いて家に連れて帰ってきました。

 

名前をフィリピン料理のパンシットのチェーン店である「Amber」から。

アンバーの皮膚の状態は最悪で、ひどい疥癬でひび割れていました。

疥癬による高熱も続き、肉球も爛れています。

歯が生え変わり始めているので5-6カ月歳だと推定されますが

栄養が満足に取れなかった犬の特徴で、耳がやけに大きく、体が小さめ。

あばら骨が浮いて、スケルトンみたいです。

 

ところで、フィリピンには素敵なハーブ類がたくさんあります。

マドレ・デ・カカオ(Madre De Cacao)がその一つ。食器や家具にも使われる木ですが、この花は犬の皮膚病てきめんに効くことで愛犬家の間で知られています。

 

うちのパグも厄介な疥癬にやられたので、マドレ・デ・カカオの製品にはずいぶんと助けられました。

 

 

今回は親しい友人からそのクリームをもらったので試しているところ。病院の薬だけじゃなく、塗り薬でもなんとかこの疥癬をやっつけたいところです。

 

うちの2匹の犬は明らかに弱ったアンバーをみてどう思ったのか

優しく接しています。でもアンバーは私と旦那ちゃん以外には心を開こうとせず

すべてのモノにおびえきっていてちょっと大変です。

 

初めまして。私はフィリピンはマニラに住んで5年目の日本人のクミです。
フィリピン人の旦那のライアンと、現在犬4匹とマニラで暮らしています。

ずっと前からベトナム映画の影響で東南アジアに憧れがあって、五年前に一念発起、仕事もぜーんぶうっちゃって、縁のあったフィリピンへ移りました。

旦那は7歳年下です。
結婚して3年になりますが、知り合ってからはもうかれこれ7年です。



仕事も家、どこに行くにもほぼ一緒。
夫婦というよりは一番気の合う友達です。
そのせいか顔までそっくりになってきて、よく姉弟に間違われます。

いろいろ不便な事もあるし、危ない所というイメージもあるこの国で、人とのつながり、優しさ、シンプルでオーガニックな生活ってこういう事なのかなと、気付かされることばかりのまいにちを、過ごしています。

あまり知られていないフィリピン人の奥深い文化、芸術、工芸品なども、紹介できたらいいなと思っています。

どうぞよろしくお願いします。

佐藤久美子
ライアン・カバティンガン