「また来いよ」  | kuminsi-doのブログ:笑って介護

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≪「また来いよ」≫

 

義父をグループホームに入所させてから2週間になる。 

義父はどうしているだろうか~ 

義母を心配してるかな~ 

夜のトイレは大丈夫かな~ 

ご飯は食べれてるのかな~ 

「帰りたい」と騒いでいないかな~ 

色々な妄想が膨らむ。 

そこで私は夫と義父を見に行くことにした。 

 

施設に入ると義父の顔が見える。 

 

「どうだね」 

夫が声を掛ける。 

 

「おう、良く来たな」 

義父は椅子に座ったまま答える。 

 

穏やかなようだ。 

 

義父は施設の方に手を引かれ我々の方に来て椅子に座らせてもらう。 

 

まだ支えてもらえば歩けてるんだ。 

 

良かった。 

良かった。 

 

「どうだ、居心地は」 

夫が声を掛ける。 

「・・・」 

義父は頭を掻く。 

 

「ご飯は美味しい?」 

私が聞く。 

「おお、旨い」 

義父は答える。 

「しっかり食べれてる?」 

私はさらに声を掛ける。 

「食べれてる」 

義父はいつものように自分の太ももが痛いかのようにさすりながら答える。 

「良かったね」 

私はほっとしながら答える。 

 

義父は今度は首を回す。 

いつもの義父の仕草である。 

落ち着いているようだな~ 

 

「皆、優しくしてくれる?」 

私が聞く。 

「おお、優しいぞ」 

義父は嬉しそうに答える。 

 

なんだか家にいるときより落ち着いている。 

しかし、義母の話は一言もない。 

 

夫婦ってこんなものかな~ 

 

義父の目の前で施設の職員の方と、義母が雨の中居なくなった話をしたが何の興味もない様子である。 

下を向き目を閉じている。 

義父の記憶の中に義母は居ないのかな~ 

 

暫く、施設の職員の方に義父の様子を聞きながら、義父を眺める。 

 

面会は15分足らず。 

 

「じゃ、帰るから」 

夫が言う。 

 

「おお、また来いよ」 

義父はぼそっと言う。 

 

「また来るでね」 

夫は声を掛け立ち上がる。 

「気をつけてな」 

義父は我々を見るでもなくぼんやりと答える。 

 

私たちは施設を出た。 

 

義父は何処にいるつもりで私たちに挨拶をしたのだろうか??? 

 

「まだ俺たちのことは分かっているようなだな」 

夫はほっとしたように言う。 

 

「もしかすると俺たちが家に帰って来たと思っていたのかな」 

夫は呟く。 

 

私は9年前から認知症が酷くなった義両親と暮らすようになったが、それまで私たちは別の市に住んでいた。 

盆、暮れ、お正月、その他用があるたびに帰って来ていた。 

 

私たちが義父の家に帰って来たと思っていても不思議はない。 

 

義父は自分がどこに居ると思っているのだろうか??? 

まあ、穏やかに暮らして居ればいいか。 

 

所で義母の記憶はどうなったのだろうか??? 

 

夫婦って分からないな~