デンマークHSP協会には日本の先を行くノウハウと知恵がありました〜 橋本美和さんレポート | HSP2.0・育成者、支援者、サポート者のための〜非認知能力アップ実現のためのポリヴェーガル理論理解

HSP2.0・育成者、支援者、サポート者のための〜非認知能力アップ実現のためのポリヴェーガル理論理解

敏感、繊細、感受性の高いHSP(highly sensitive person)が、生まれ持った感性と強みを仕事に活かして生きていくことをサポート。
日本で最初にHSPとポリヴェーガル理論を結びつけ、生きづらさは自律神経系のケアで解消できることを説いている。

HSP/HSC プロデューサー 皆川公美子です。

デンマークプログラムに参加された橋本美和さん
HSP協会を訪れた時のレポートを書いてくださいました。



(右が橋本美和さんです)
 

橋本美和さん プロフィール~自分を変えるより、自分に還る。~

「自分に還る」ための各種講座開催
・あなただけのジョイライフ講座
・創造的無意識活性化コース開講(旧ENMAカードリーダー養成講座)
・人生がバラ色になるダイアリー講座
いまよりもっと心地よく生きるためのセッション、インスピレーションアートの作成の他、
多岐にわたる講座の招致等々、多彩に活動。

あなただけの光をより輝かせるサポーター
リラックススペースえんくる主宰
MIERUKAアーティスト

美和さんご自身のプロフィール記事
「はしもとみわができるまで」

 


HSP協会デンマークの会長のアティナさんと対談の機会がありました。

2019年8月29日 コペンハーゲンにて行われました。


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アティナさんは始めに、

「HSPに興味がある方とご一緒できてとても嬉しいです。
デンマークはいろんなことを試してきましたので、それをシェアできるといいなと思います。」

とおっしゃってくださいました。


その場ででたQ.&Aと最後に私の感想を書かせていただきました。

 

Q.デンマークでのHSPの定義は、アーロン博士と同じでしょうか。
 

A.そうです。

 

Q.エフタスコーレやフリースコーレではHSCの子どもたちへの配慮がありましたが、公立はそうでもない印象でした。
デンマーク社会では、HSP,HSCはどの程度認知されているのでしょうか。


A.認知の差が激しいです。

心理カウンセラーで詳しい人もいれば、聞いたこともない人もいます。
HSPの事を、特別扱いされたいだけなんじゃないか?という人もいます。
保育園、幼稚園は子どものケアがメインになっており、ペタゴー(ケア専門の人)の制度もあります。
しかし、学校になると、先生も忙しく、そこまでは手が回らない状態です。

 

 

Q.HSPの認知度も上がってきており、心理学専攻の学生などは知っているようです。
大学などの間では、どう浸透しているのでしょうか。


A.ここ5〜10年で上がってきたのは確かです。HSPに関する本も出ています。
アメリカ出版された本の翻訳版が2010年くらいに出版されました。2013年にデンマーク国内の50カ所でWSを行い、100人くらいが参加をしています。しかし認知が上がるにつれ、勘違いも広がっていると感じています。

 

勘違いとは、敏感さがストレスに繋がっていると思われていることです。ストレスがなくなれば、敏感さはなくなると思われていることがありますが、これは個性の一つなので、なくなることはありません。自分を知り対応することができるようになることはありますが、ストレスを除けばokではないです。

多くのHSPは、自分がHSPだと知った後、何年か経ち、自分にあった仕事や友達、環境が見つかれば敏感さはなくなるのではと感じています。

 

私の元に来る方でサポートしている人は全員HSPです。

「私はHSPである」と認めることが一番難しいことです。他の人に比べて何かが足りない、だめだ、自分が問題だと思ってしまうことがよくあります。これは個性の一つであると自分で認められたら、対応が変わって来ると思います。

 

 

Q.日本人の性質も関係していますが、人の気持ちがわかりすぎ、他を優先してしまうことについてどう思われますか?
デンマークでもそのようなことが起きているのでしょうか。

 

A.    敏感さは、感覚とコミュニケーションに現れます。敏感さを「もらえるもの(ギフト)」と「ワークポイント(自分が仕事しなくてはいけないもの)」に分けていくことが大事です。
 

HSPの人たちは、アンテナをたくさん張っています。

とても重要なことは、「自分のやっていることに限り、枠」を作ることです。そしてアンテナの半分を自分の内側に向けることも必要です。他の人も大事だが、自分はどうか?どう感じているか?他の人のために、も大事ですが、同じだけ自分もサポートすることを大切にすることです。

自分の責任(やる範囲)はどこまでか、を明確にすること。人か自分の責任かを意識するし、従う必要があるかと思います。

デンマークでは、自分と相手の責任を分けて考える風潮が多いですが、その中でもそれが難しい人もいます。ストレスダウンしてしまって、仕事ができなくなる状態になる人もいます。

そのための対応を教えてもらっても、機能しないこともありますし、ストレスで仕事を辞めたり、休んだりする人もいます。しかし、そのためにフレックスJOB(一週間20時間ほどの仕事)や、早めに年金がもらえるなどの制度もありますが、それがうまくいかず、大変さを感じている方はいます。

 

 

 

Q.日本ではHSPは疾患ではなく特性であり診断法の対象ではありません。現在HSCの不登校である確率が6割くらいかもしれないという現場のスクールカウンセラーの声もあります。デンマークの現場ではどう対応されているのでしょうか。

 

A.    デンマークでも、HSPの診断はもらえません。ケースワーカーを通してサポートをもらうシステムですが、担当の人により対応は違います。場合により、サポートを受けられることもあります。

システムとしては、一旦診断(スタンプ)が降りたら、かなりサポートがもらえる仕組みになっています。

 

私は個人的にカウンセラーもしているので、相談を受けたらいろんなアドバイスもしています。できるできないを知って対応することをお話しします。先生に何をどう伝えればやりやすくなるかを伝えています。転校などのアドバイスをすることもあります。

 

 

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(左は通訳のソーレン・クローマンさん)

Q.心理的トラウマなどを伝えても、理解されないことが多くあります。感覚的に共有できない相手にどのように伝えたら良いでしょうか。
 

A.一番大きな問題です。例えばなしをすることで、理解されることがあるかもしれません。

例えば‥箱にオレンジが12個入っているとしたら、一般の人は3種類くらいよね?と見えることでも、9種類くらいある!そんな風に見えて感じているのです、とういうようなことです。

「私に聞こえる音は一般の人の7倍くらいに聞こえる」などように具体的な説明をすることもあります。

 

 

 

<アティナさんご自身ついて>

現在77歳。67歳の時にアーロン博士の本を読んで、HSPと気付きました。
今までこのような敏感さがあったことにも気付いていたが、それほど大変ではなかったのかもしれません。

それは、自分の気持ちを守ることもしてきたからだと思います。

IT関係の仕事をしていたが、50歳くらいの時に心理カウンセラーの資格を取りました。興味深い話が来たので飛び込んだ感じです。

食に関するトラブルがある人はほぼHSPではないかという見解を持っています。
食欲がない、食べられないということは、何らかの形で敏感さが出ていると考えています。

 

 

<協会について>

会員数は360人くらい、最高時は1200人くらい。

年1700円くらいの会費をいただいています。(多くのグループは年3400円くらいです)

メンバーになっていない人とも交流はあります。

 

2006年に協会結成

2010年始めた方がストレスで解散

2011年に再結成されました。そこから活動に参加しました。グループやレクチャーも始め、本も書き始めました。

2012年〜15年は、かなり人が増えて拡大してきました。

2016年以降、会員数は減ってきています。
 

その理由として、敏感なことで自分自身の問題があった人たちが、本などもあったり、コツをつかんできたり、
協会がやってきたWSなどもあり、楽になれる人が出てきたからだと思います。また新しい人が入ったらいいなとも思っています。

 

HSPのHPに情報がたくさん載っており、訪問が多いです。
 

この半年は面白いアイデアを持ってくる人が増えてきました。これから色々面白いことが起こるのではないかと考えています。
 

協会のTOPは2人でしたが、3人になりそうです。その方は、アロマの専門家でもあります。HSPの人のために何かいいことができる、HSPの人のためのプラットフォーム、ネットワークが作れたらいいと思っています。


TOP2人と後4人のHSPで、ZOOMなどを使って、2時間くらいのサークル会話などもしています。国中にいるので、このシステムを使って話すことは有効に感じています。日本の人ともできるのではないか?と考えています。

 

(参加者からのシェア)

日本人の気遣いやテンポ、じっくり話を聞くことがHSP(デンマーク人)にとって嬉しく、ありがたいという話もあります。
(察すること、感じること、課題の分離が寂しく感じることなど)
自閉症の人と、日本人も相性が良かった例もあります。

 

<HSPの本について>

1.     「食べることとセンシティビティに関して」(2013年)

自分で自分の気持ちを理解して、なぜ問題があるのかを探り、人間らしく対応してもらえる本というコンセプトのもとに出版。 デンマーク語

 

 

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2.     「センシティブ・チルドレン」(2014年)

かなり分厚い本で、幼稚園の先生のTOPの一人との共著です。

どんな特性?どう世界を感じる?具体的なケースや理論がいろいろ書いてあります。

デンマーク語

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3.     「敏感な子に対するイントロダクション」(2014年)

2の薄い本。分厚すぎて読めないという人に向けて

実例をのぞいてコンセプトだけを書いています。

デンマーク語

 

4.     「センシティブ・ヤング」(2015か16年)

3と同じ構成。今は子どもより若者のことの相談が多いです。この本の内容のことが伝わり始めたのかなと思っています。デンマーク語

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この後「センシティブ・アダルト」を書こうと思ったが、他にも出ているので書く必要はないのかなと思っています。

 

 

 

 

Q,HSPの強み、良いところの活かし方についてはどうお考えでしょうか
 

A.講演の時はそれを先に必ず言うことにしています。

・深く考える、理由を探る、適当でなく真面目にやっていること。

・感情、感覚の豊かさがあること。(音楽、動物、自然などの良いバイブレーションを感じることができる)

・学校や会社などの中で、他の人がいい気持ちになることのサポートができる。相手の気持ちが伝わるから、親切に感じることができる。それができることで、みんながいやすくなることがある。解決を見つけるのも上手い。

・質に敏感であり、物事をきちんとすることができます。いいものを作りたいという気持ちがとても強いことがあります。しかし、行き過ぎると、完璧主義になる恐れもあります。そうなってしまうと、独裁になることもあるので、いい頃合いになるなら良いと思います。

・責任を背負おうとすると、大変なことになりがちですが、責任を感じてくれるのは助かることもあります。

・想像することで心配性になることもあるので、バランスをとるのが大事であることを伝えています。

・エシカル(道徳的、これが正義であるかどうかを意識、物事が平等かどうかを意識すること)なことを

意識しすぎると何もできてなくなる、耐えられなくなることもあります。

 

人より感覚が敏感であるので、他の人が見えないことや感じないことを感じたり、声が聞こえたり、天使が見えたりなどのスピリチュアルな感覚を持っている人もいます。オープンな社会でもあるので、スピリチュアルな話をすることもありますし、そういうこともあるよね、という捉え方ですが、人によってはこれを全く認めないエリア、グループもあります。相談の中で、娘が亡くなった人がきた、と言った、という話をされた時、否定をするのではなく、何を話していた?と聞いてみたら、ということもあります。

個人的にはヒーリングなどもありかと思っています。

 

 

 

 

Q.外向型のHSSと内向型HSPについて協会としてどのように対応されていますか?

またどのようにお考えですか?

 

A.新しいもの探しの面もあるでしょう。これについて、特にフォーカスしようとはしていません。人はそれぞれ違ってきますし、それのためにあえて何かをしようとは思っていません。ただし、自分に合う仕事を見つけるのが大事だと思っています。新しい経験を認めている方もいるが、ありすぎて対応できません。自分がどちらなのかを知っておくことは大事です。自分で落とし所を探すしかないと感じています。

 

 

 

Q.完璧主義や責任の取り方などのバランスの取り方はどうやったら良いのでしょうか。経験でできるようになるのでしょうか。
 

A.経験ももちろん必要ですが、それよりも大切なのは、自分で意識する、考える、ルールを作ることが大事です。ここまで責任を取る必要があるのか?という問いかけを自分にしてみること。その人自身が、本来やるべきことをやらなかったらどうなるのか?その人の成長はどうなるのだろう?という考えをあえて意識することが必要です。

 

 

 

Q.食べ物とHSPの関係について教えてください。

A.どちらかというと、好き嫌いではなく、病気に近いこと(摂食障害など)を指しています。とはいえ、食感、味についても、敏感だから起こることであり、好き嫌いについても影響があると感じています。

 

 

Q.「HSP」という名前をつけることの意味、責任が伴うことについてはどうお考えでしょうか?

また、社会の何が解決すれば、次のステージに行けるとお考えでしょうか。
 

A.    難しい質問であり、大きな答えであり、スピリチュアルなことになってきますが、胃ではなく心の方で、自分以外の人のことも考えることがいいなと思っています。

そこではエシカル(道徳的)なことを意識すること大事で、新しい価値観が生まれてくるのではないかと思っています。社会の変化をHSPが先に感じ、それを先導していくようになるのではと思っており、100年後は変わってくるのではないかと思っています。

自分のことを考えることが、多くの人ができればいいと思っています。

※胃(おへそ)を探る→自分のことばっかり考えること。力関係を探っている。

 

 

Q.日本では子どもが自分だけ違うと感じてしまうことの、社会的なプレッシャーがあり、弊害があります。

親はそれを受け入れていても、他の環境要因で自己肯定感が低くなってしまうことがあります。

先ほどHSP協会のプログラムによって、楽になり、会を離れていった人がいるとお聞きしました。そのプログラムについて教えてください。
 

A.デンマークでは、3つの教育の種類があります。
 

・一般

・フリースクール

・ホームスクーリング

 

例えば半年たったらより自分にあったものを選べるシステムになっています。そういう柔軟性が大事だと思います。

団体のためにやることも大事ですが、個人のためにすることも大事だと思っています。

なるべく早い段階、年齢が低い時からや、または問題が大きくなる前に関わるのが大事です。

ちょっとだけ何かを変えることだけで楽になることはあると思います。

その人が何に困っているか?それに対する対応をしていくこと。

例えば、学校のベルが大きければ、その時間は耳栓をすることもありだと思います。

そのためには学校が関わっていることが大切で、一緒にやることが必要です。

また、日本の文化が現実に目覚めることが必要ではないか?と感じています。

例えば有名な人が、自分の気持ちを伝えたりすると変わるのではないかと感じています。

 

Q.人と違うという疎外感を感じることで、孤独を感じることがあります。周囲の人のこともですが、自分自身の感覚も鋭く感じてしまうので、孤独感に潰されてしまうような感じもあります。この感覚との付き合い方はありますか?
 

A.まずは自分が悪い、間違っている‥ではないことを意識することです。ありのままで良いのです。また、ありのままは、みな違います。

自分の周りに信頼できそうな人がいるかどうか、話をできる人がいるかどうか、見極めることです。そしてそんな人がいたら伝えることです。言葉にすると明確になりますし、相手からフィードバックをもらえ、楽になることもあるかと思います。誰かに話すことは、勇気のいることですが、できると思います。

 

 

Q.一番最初にHSPを知った時に、何を伝えたいと思っていらっしゃったのか、初心についてお聞きしたいです。
 

A.人が自分に賛成できること。

HSPの枠で自己理解をすること。

自分の得意や不得意など、分からなかったことが、分かればいいと思います。

 

その上で、これからの人生を進めるようになる、それができるようにしたいと思います。

最初の方にWSをした時も、予想の3倍ほどの人数が来ていました。そこで、「自分が人と違うと感じていますか?」と聞いた時、森のごとく手が上がりました。その時に、確証したのは自分が違うのではなく、よくあることだということでした。

 


 

アティナさんと公美子さんが並んで座っていらっしゃると、とても雰囲気の似たお二人だなあとつい見入ってしまいました。
 

優しく受け止める、しかし、しっかりとした軸と、強さを兼ね備えたお二人が、お話しされていることは、HSPの人たちの現状とそして未来を喜ばしいものへと導くキーワードが沢山あると感じました。
 

「HSPであるということを認めること。そして「何かが足りない私」ではないことを知っておくこと」

「人も大事だが、それと同じくらい自分も大事にすること」

「責任をどこまで持つかを決めること。責任を持つことが、相手にとって良くないこともあるということを知っておくこと」

「HSPで感覚に敏感だからできることはたくさんあるということ。特性を前向きにとらえること」
 

これらは、つい自分を責めてしまいがちなHSPにとっては大変必要な言葉ではないかと思います。

 

そしてアティナさんがカウンセラーを目指されたのが、50歳を過ぎてから。

このことに、多くの勇気をいただきました。

人は、何歳からでも、心が震えたことに対して、行動することができ、なりたいものになれるということ。そして、HSPである特性を生かしてお仕事をされていらっしゃることに関しても、HSPの未来を見せてくださっていると感じました。

 

協会があるということで、「自分と同じような感覚や、悩みを持つ人がいる」という安心感が生まれますし、協会内でのワークショップ(具体的な内容は分からないのですが)があることで、自分がラクになる感覚や機会があることは、HSPの方にとっては必要なことであると感じました。

 

日本でもこの概念は広まりつつあります。この時だからこそ、正しく周囲に伝わることがとても必要だと感じています。HSPの特性を「活かす」も「言い訳にする」も、個人の意識も大変重要になってくると思います。アティナさんのお話にはそのヒントがたくさんあったように思いました。

 

 

橋本美和さんのレポート以上です。

 

皆川より

アティナさんの言葉が正確に伝わってくる、すばらしいレポートありがとうございます!
すでにデンマークではブームが去り、HSP 協会の人数は減ってきているそう。

でもそれはHSPという枠を使わなくとも

個人が個人の強みと個性を使って社会に参加していけるようになっているとも

とれますね。
アティナさんも、強みやいいところからその人を見るようにしている、とおっしゃっていました。
わたしたちは日本で今、HSPであった自分の紐解きをしている段階かもしれません。

それがHSPという枠が必要なくなるところまでいくのが

わたしの目標です。

 

今、HSPという枠を使ってできることがある。
でもHSPという枠がなくなったときがほんとうのゴール。

 

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(アティナさんのセッションルームの入り口にて)

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橋本美和さんはメッセンジャー講座の大阪開催を主催してくださっています。(12月)
あと3席ほどだそうです。

 

https://ameblo.jp/encle/entry-12508002088.html?fbclid=IwAR1Bc40eP0iNWi6bB0CyNexuA05s54GjN6oHTeN2b9exDg5hfOR5w_HSZiQ