介護者のためのセルフケア

― 中医学とタイ伝統医学から見る体と心 ―

介護が始まると、生活のリズムが大きく崩れ、
まず 脾(ひ) に負担がかかります。

段取りや心配が頭から離れず、
いつも何かを考えていて、思考がぐるぐる止まらない。

「ちゃんとしなきゃ」
「私がやらなきゃ」
「いつまで続くんだろう」

この 考え続ける状態 が、脾を疲れさせていきます。

脾は
食べたものをエネルギーに変える
心と体を支える土台をつくる

とても大切な臓です。
そのため、介護初期のセルフケアは、まず「脾」を整えることが大切です。

脾が弱った状態が続くと、
体にも心にも余裕がなくなり、
言いたいことを飲み込む
感情を抑える
我慢が増える
といった状態になりやすくなります。

このとき、次に影響を受けるのが 肝(かん) です。

肝は
気(エネルギー)を流す
感情をのびやかに動かす
血を貯める
という役割を担っています。

我慢や抑圧が続くと、肝の「流す力」が弱まり、気や感情が体の中で滞り始めます。

それは
体を通る道に「気」という車が増え、
最初は小さな渋滞だったものが、
やがて大渋滞になり、流れが止まってしまう状態で中医学では
肝気鬱結(かんきうっけつ) といいます。

体からのサイン
ため息が多い
胸やみぞおちのつかえ
イライラと落ち込みを繰り返す
お腹の張り

心のサイン
不満が増える
悔しさが残る
言えない思いがたまる
「私ばっかり」という気持ちが強くなる

🌿介護中のセルフケアの基本🌿

介護中のセルフケアとしては
この状態の時は
「がんばるために補う」よりも、
「流す・ゆるめる・ほどく」ことが基本になります。
香りのある食材
温かく、軽いハーブティー
深く息を吐く呼吸
体をゆらす、やさしく温める

これらは、
肝と「風」の流れを助け、
心身の緊張をほどいてくれます。


気をつけたいポイント👍

― 温めすぎない・補いすぎない ―

体や心のサインに気づく頃には、
すでに肝の気が詰まり、
イライラ
肩こり
目のトラブル
月経トラブル
などが出ていることが多く、
体は「熱っぽく、高ぶりやすい状態」になっています。

このときに、
さらに温めたり、強く補ったりすると、
こもった熱が一気に強まり、
症状が悪化することがあります。

生姜やニンニクよりも、
レモンや金柑などの 柑橘の力 を
上手に使ってみてください。

また、疲れているからといって
いきなり「元気が出るもの」をとると、
体の中でつかえているものを
ぐっと押し上げて固めてしまうことがあります。

その結果、
動悸やのぼせが出ることも。

まずは体に栄養を、あげるよりも、
呼吸が楽になるように、
体の巡りを整えることが先です。

◯おすすめハーブティー
200mlのカップに5分蒸らす
レモングラス(カット)…… 0.5〜1g
(小さじ1弱)
フェンネルシード …… 0.3g
(5〜6粒/ひとつまみ)
マイカイカ(玫瑰花)…… 1

◯玉ねぎ・セロリ・黒きくらげの
黒酢ごま炒め
材料(1〜2人分)
玉ねぎ …… 1/2個
セロリ …… 1本
黒きくらげ(戻したもの)…… ひとつかみ
ごま油 …… 小さじ1
黒酢 …… 小さじ1〜2
醤油 …… 小さじ1
砂糖 or はちみつ …… ひとつまみ

作り方
1. フライパンにごま油
2. 玉ねぎ → セロリ → 黒きくらげの順にさっと炒める
3. 火を止めてから黒酢・醤油・甘味を加える

我慢や抑圧で気の流れが止まと、
最初は「気」だけの問題でも、
それが続くと「血」まで動かなくなり肝気鬱結→肝気鬱血になります。それについては
また次回書かせていただきます。