共通テスト追・再試験 その6 [2023年度 第3問  問1~問3] | クマのアフタークラス

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問題及び解答は、令和5年度 追・再試験の問題 | 独立行政法人 大学入試センター (dnc.ac.jp)

令和5年度 追・再試験の正解 | 独立行政法人 大学入試センター (dnc.ac.jp)

 

第3問

問1:後三条天皇(白河天皇の父)については、「摂関家を外戚としない天皇」、「延久の荘園整理令(内容も理解すること)とその中心機関である記録荘園券契所(記録所)」[枡の基準統一(宣旨枡<せんじます>の制定)]は押さえておきたい。宣旨枡は、豊臣秀吉の太閤検地で京枡に改められるまで枡の量の基準となりました。

 度会家行<わたらいいえゆき>は、鎌倉時代の伊勢外宮(伊勢神宮は内宮と外宮がある)の神官で、神道側の立場から「神が主で仏が従である」とする考え=「神本仏迹説を唱えました。神仏習合を経て、平安時代に生まれた本地垂迹説(仏が本来の姿で、神はその化身とする)への対抗ですね。

 

問2:延久の荘園整理令に関する問題。③の「整理令の対象が、摂関家も例外とせず、証拠書類の提出を求めた」が正解。①は、説明が逆で、荘園が増加し、公領(国衙領)を圧迫しているとしなければならない。②は、大江広元ではなく、大江匡房<おおえのまさふさ>です。④は公領(国衙領)の支配は国司であり、武士ではないので誤りです。

 なお、国公立や私立の記述式問題では、例えば「延喜と延久の荘園整理令の違い」を聞くかもしれません。その場合、「延喜の荘園整理令は実施を国司にゆだねていたため、不徹底であったのに対し、延久の荘園整理令は記録荘園券契所を設け、証拠書類と国司の報告を合わせて審査し、新立荘園や証拠不十分の荘園を停止した」といった文章を書く必要があります。記述対策には、教科書の精読は有効ですが、ただ流し読みではなく、志望大学の3~5年分の問題や出題傾向をおさえておくと、「問題を想定しながら読む」ことができるようになります。時間を見つけて取り組んでみてください。

 

問3:Ⅰ、Ⅱ、Ⅲが何という土地政策、あるいは税制かがわかればいい。ポイントとなる言葉を拾っていきます。

 Ⅰは、「・・・自己申告させた年貢高を銭に換算」し、これをもとに家臣に知行を与え、軍役を課した、とあり、ここから戦国時代の貫高制と気づいてほしい。

 Ⅱは、戦乱が何なのか気になるが、乱後に「畿内・西国の荘園や公領に多くの地頭を配置」とあるので、戦乱は鎌倉時代の承久の乱で、地頭は新補地頭、そして収入等を決めた「新たな基準」とは新補率法を指すと判断できる。

 Ⅲも、内乱が何なのか気になるが、「荘園や公領の年貢の半分を軍費として調達」の部分から、室町時代初期(というか、まだ南北朝時代)の半済令<はんぜいれい>だと判断できる。

 内乱は南北朝の動乱を指し、最初の足利尊氏の出した半済令(近江・美濃・尾張に期間限定で出した)の時は、観応の擾乱<かんのうのじょうらん>の最中でした。

 以上より、Ⅱ→Ⅲ→Ⅰの順になります。年代順の並び替えは慣れてくると、手がかりから容疑者を見つけ出すような、ある種の快感を覚え・・・るのは私だけ?(*´▽`*)