共通テスト追・再試験 その5 [2023年度 第2問  問4,問5] | クマのアフタークラス

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問題及び解答は、令和5年度 追・再試験の問題 | 独立行政法人 大学入試センター (dnc.ac.jp)

令和5年度 追・再試験の正解 | 独立行政法人 大学入試センター (dnc.ac.jp)

 

問4:初見史料の問題を解くために重要なことは、史料の(注)に注目すること。出題者からのヒントが隠されていることが多いのです。今回は6つも(注)がありますからこれだけで文章の内容はつかめてきます。(注1)では満濃池が現在の香川県に存在すること、(注2)では池の堤防工事の規模が大きく、動員できる民も少ないため工事が進んでいないことがわかります。

 そこでどうしたかというと、讃岐国出身の空海の力を借りようというのです。(注3)と(注4)によると、空海が山中で坐禅していると、鳥獣たちが慣れ親しんでよってきた(ホンマかいな (;^ω^))ことや、空海が海外(具体的には唐ですが)で修行し、道理を悟ってきた高僧だとほめたたえています。

 ところで空海はこの時どこに住んでいたのでしょうか? 史料を見ると「京師に住む」とあるので京都(おそらく東寺(教王護国寺)あたり)にいました。もし空海さんが讃岐に来てくれたら、彼を自分の父母のように慕う人々は、(注5にあるように)「履(くつ)をさかさまにはくくらいに」あわてて出迎えるでしょう (^o^)丿

 そして、この史料で最も重要な最後の2行につながります。ここに要求したいことが書いてあるのです。ここだけは史料の文章を引用します。

 

 伏して請うらくは、別当に充て、其の事を済さしめんことをと。これを許す。

 

 伏して請うとは、頭を下げてお願いすることです。お願いする相手は別当(注6によると、役所や寺で事務などを総括する者)です。お願いの内容は、「其の事を済さしめんこと」ですが、今までの流れから考えて、空海の讃岐国への派遣しかありません。

 実は史料の最初にある「讃岐の国言(もう)さく」とは「讃岐国が申しあげるところによると」というような意味で、そのあと1行目から6行目までの「  」の中は全て讃岐国からのお願いの文章なのです。最後の文、「これを許す」は所管の役所あるいは寺が派遣を許可したということでしょう。

 長々と解説してしまいましたが、史料の(注)は、内容をつかむのに欠かせないということがわかってもらえたらと思います。共通テストに限らず、テスト中は孤独な戦いですが、(注)はみなさんを正解に導いてくれる味方なのですよ。

 

 問5:個々の解説は簡単に一言ずつにします。

 aは鎮護国家思想に基づき聖武天皇の時に国分寺・国分尼寺の建立が命じられたので〇。

 bは僧尼令に規定はあったが、税負担を逃れるためなどの理由で勝手に出家する私度僧<しどそう>がいたので×。

 cは弘仁・貞観文化の密教寺院を思い出せばいい。延暦寺・金剛峰寺、室生寺もそうですよね。

  dは平安京への遷都した理由として、桓武天皇が平城京の時代の仏教政治の弊害を改め寺院勢力を排除する目的があったことから、平城京寺院が平安京に移転はありえないことから×です。