里山と熊鈴と私(雁戸山・宮城-山形県境) | 里山と熊鈴と私

里山と熊鈴と私

朝寝坊と山を愛するあなたへ。日帰り、午後のゆるゆる登山。

 雁戸山(がんとやま 1,484.6m)。昨年登って、その手軽さとワイルドさのいいとこ取りに、すっかり好きになってしまった山である。

 

 なんだかんだで、ちょっと家を出るのが遅くなった。

 

  笹谷峠の駐車場は50台ほど置けるのだけど、もうこの時間、満車状態である。山形神室方面に行く人が多いのかな?

 ちょっと下った広場に、1台分だけスペースを見つけて、なんとかねじこむ。

 

 9:15、山形コース方面に出発。わあ。風に、「ごうっ」と背中を押されます。

 

 林の中、そんなにきつくない斜度の道。

 

 関沢への分岐点。紅葉が進んでいる。

 それにつけても、トレッキングポールを使うようになってから、だいぶ様子が変わった。歩きにリズムが出てきたし、下り坂でもそんなに疲れなくなった。

 

 以前は、ほんな、山ガールみたいな、チャラチャラしたもん使えるか!とアンチ派だったのだけど。

 

 仙台タピオのアウトドアショップで、応対してくれたオネエサンがなかなか可愛かったので、ついつい買ってしまった、ということは、内緒である。

 

 それはさておき。ペースは快調。何人かのオジサンをずいずいっと、追い越す。

 

 今日の脳内BGMは、マイルス・デイビス『Roundmidnight』より「Ah-Leu-Cha」、「Tadd's Delight」の流れ。それがいつの間にか、ユーミンの「青春のリグレット」に変わってしまっていた(笑)。いつもこのパターンですね。

 

 「はぐらか~ し~たのが く~るしい と~ ♪」っと。

 

 10:13、八丁平との分岐点。この先、前山を回り込むように進む。木の根がわさわさ張り出して、歩きにくい道が続く。

 

 10分くらいすると、左側が開けてきて、仙台・山形両神室山や、大東岳がとおく見え始める。

 

 10:28、個人的に「まんが日本昔話ポイント」と呼んでいる地点に。おにぎり型の山がきれいに並んで見えるところ。

 「ぼうや~ よいこだ~ ♪」っと。(今の人は知らないかな?)

 

 で、ここまで来れば、尾根に出るのはもうすぐ。

 

 新山方面への分岐点を超えれば、すぐにドーン、とこの光景。

 わあ。この景色がほんと、楽しみだったのである。

 

 どうんと、蔵王方面に谷が落ち込んでいる。迫力満点。

 

 振り向けば二口山系がぐるっと見渡せる。すんばらすい。

 ここから、にわかにワイルドな岩登りがはじまる。

 鎖とロープを頼りに、えいっと上体を持ち上げたら、左ひざを石に強打。いっててて。

 

 この先、いかにも頂上っぽい、尖がったピークを2つ越える。

 蟻の戸渡りを超えると、本当の山頂が見え始める。もう少し。

 

 ふうふう。11:00ちょうど、北雁戸山山頂(1,484.6m)着。誰もいない。

 

 で、今年はここから南雁戸山に向かってみる。

 笹雁新道への道との三叉路を過ぎて、下りに。

 

 わあ。鞍部までどうんと降りてから、また急斜面を登り返すことになる。ちょっと、げんなりしながら進む。

 

 向こうの斜面に、明るいグリーンのパーカーを着た人影が見える。

 さっき、蟻の戸渡り手前でオッチャンに抜かれたんだけど、もう、あんなところにまで。スゲー。

 南雁戸山斜面は、岩場ガツガツで、いっそうワイルドさが増す。

 おむすびみたいな山の陰に、蔵王ダム湖が見えてきた。

 風が出てきた。岩にしがみついて耐える。

 

 頂上手前に、ちょっとしたピークっぽいところがある。ハイマツの幹がへばりつく尾根をやっとこさ超えて、11:46、南雁戸山(1,486m)頂上。

 

 わあ。ここも眺めが良いですね。

 山神様の碑があったんだね。うっかり、スルーしてしまった。

 

 と、オバチャン2人組が上がってきた。

 なんというか、ものすごく、やかましい(笑)。

 

 お昼は、別な場所で摂ることにしよう。で、逃げ出すように、荷造りして立ち上がる。

 八方平避難小屋が遠くに見える。あそこまで行くのはちょっとしんどい。なので、ここから引き返すことにする。

 

 ふうふう。再び急降下、そして急登。しんど。

 

 ふと顔をあげたら、紅葉が真っ赤。この枝越しに見る北雁戸もまた、うつくしい。

 12:30、北雁戸山頂上で、お昼。今日の菓子パンは、趣向を変えてミニストップの「ベルギーチョコクリーム&チョコホイップ」。あまーい。

 

 さっきのパーカーおっちゃんが、微笑を浮かべて休んでいた。よく見たら、パーカーに「国体」の文字が。もしかすると、ものすごいアスリートなのかもしれない。

 

 ちょっと休んで、12:50、出発。あれ、さっきまでびゅんびゅんしていた風が、ない。日差しが戻ってきて、気温も上がってきたようだ。パーカを脱いで、どんどん進む。

 

 昨年と同様、八丁平方面へ。確か、いくつか、紅葉がきれいな場所があったはず。

 さっき、山頂にいた家族に抜かれる。小生、だいぶ先に出たんだけど、この家族もものすごいスピード。無言でどどどど、っと行ってしまった…。

 

 別に、急ぐ用事もないし、のんびりと。

 林の中を、写真を撮りながらただひたすら歩く。

 わあ、泥と枯葉で滑りやすい。去年はこのあたりで派手にスッ転んだので、用心しながら進む。

 

 秋だ。気温もだいぶ下がってきた。季節が進むと、いっそうカラフルになる山の世界。

 ほーう、っと、樹々の美しさに、しばし足を止めるのでした。

 下り坂の向こうに見える仙台神室さんが、ちょっとずつ近づいてくるのが慰めになりますね。

 

 14:38、登山口着。斎藤茂吉先生の歌碑がある。

 ふう。片道2時間もかからずに、ワイルドな岩場のある登山を、今年も楽しめました。

 

 それにつけても、笹雁新道からのコースが気になる。で、来年に向けて偵察。

 

 笹谷ICを超えて、「一乃湯」向かいの林道から登るみたい。ちなみに日帰り入浴は9:00~17:00の営業。

 

 ふーむ。高速道の下をくぐる舗装道はちょっとで途切れて、あとは砂利道になる。林道の脇に駐車できそうなスペースもあるけれど、ちょっと道端に車を置いていくのは不安なような気もする…。

 

 そんなわけで、いろんなアプローチを楽しめる山。また、来年も来たい。

(2015.10.10)