2023年9月に旧友と奥鬼怒の湯を巡ったシリーズ、その5。
宿泊した手白澤温泉、最後のお話です。
本編前に、恒例のここまで行程リンク集からどうぞ。
2時間歩いて行く宿にしては驚きの快適さと美味しいお料理の手白澤温泉。
とはいえやはり一番の魅力は温泉でしょう![]()
写真が多くなってしまったけれども、一気にお送りします。
手白澤温泉 <温泉編>
奥鬼怒4湯の中で唯一立寄り入浴ができない手白澤温泉。
その湯は頑張って歩いてそこそこの宿泊料金を支払う価値があるものなのかどうか。。。はい、しっかり価値あるものでした![]()
以下の写真は色んな時間帯のものが順不同で出てきますのであしからず。
ちなみに滞在中は夜中を含め、いつでも入浴可能![]()
浴場は建物の一番奥。
この写真↑は浴場側から玄関方面に向かって撮ったもの。
廊下のどんつきへ行くとこちら↓のモチーフ。
男女別に内湯と露天風呂があり、入替えは無し。
右側が男湯。
色んな意匠がモダンですねぇ。
それでは男湯へ。
脱衣所がとっても広い![]()
脱衣棚の設置が無い分、余計に広く感じ、独特のムード。
そしてピカピカに掃除されている。
自分で隅にある脱衣籠を取って来て、ベンチ状のところに適当に置いて使った。おそらくそういうことでよいのでしょう。
脱衣所には分析書と共に源泉「兵次郎の湯」のお話が。
これを見ると創業は昭和10年ということになるのかな。
兵次郎さんが見つけた温泉で、兵次郎の湯。
では浴室内へ。
内湯エリアには大きな浴槽が1つと洗い場、そして露天風呂への入口。
天井も高いが、その居心地の良さの多くは浴槽横の大きな間口がもたらしている。
窓ではなく、そのまま壁が開いている状況。
これが素晴らしい開放感となっているんですよ![]()
訪れた時の気候がよく(雨模様ではあったが)、内湯でも標高1480mの奥深い山の空気をそのまま感じられる構造には唸るばかり。
洗い場は2セット。
カランやシャワーの設置はなく、壁から出ている湯口から投じられるのはもちろん源泉![]()
下の切株みたいなところにちゃんと溜まるような構造。
後ほど詳しく見て行きましょう。
と言いつつこの壁の後ろを見てみたら。。。
壁の外から湯口の位置へパイプが差し込まれてました。
シャワーの設置は無いと書いたけれども、別の場所に一機だけシャワーの設置あり。
ただし出るのは水。
水風呂の代わりに使用するということでしょう。
それではお待ちかね、メインの浴槽。
ほぼ無色透明~僅かに白っぽい湯は源泉名が先述したように「兵次郎の湯」。
源泉温度52.2度、pH6.9の単純硫黄温泉(硫化水素型)。
成分総計は0.624g/kg。
ただし分析年が平成9年のものしかなかったので、現在の数値は少し変わっているかも。
自然湧出で約300リットル/分の湧出量があるらしい。
この湯をサイトによると完全かけ流しにて使用。
この写真↑だとあまりそう見えないのだけれども、実際は結構ドバドバのオーバーフロー![]()
浴槽の温度を測ってみると。。。
41.1度と山の空気をそばに感じながら入るには実に適温。
源泉の成分数値を簡単に抜粋。分析は先述通り少々古いけれども。
陽イオンはナトリウムが103.1mg、カルシウムが21.7mg、カリウムが4.4mg、マグネシウムが0.8mg、マンガンが0.3mg、鉄Ⅰが0.1mgなど。
陰イオンは炭酸水素が210.4mg、硫酸が92.5mg、塩化物が3.1mg、硫化水素が2.6mg、フッ素が0.9mgなど。
非乖離成分はメタケイ酸が131.5mg、メタホウ酸が7.7mg。
溶存ガスは遊離二酸化炭素が41.0mg、遊離硫化水素が3.7mg。
総硫黄を計算すると、約6mg。
白い消しゴムのカス状の湯の花がたっぷり舞っている。
ドバドバと源泉を投入する湯口を観察。
淡いコクのあるタマゴ臭あり。
淡いコクのあるタマゴ味、僅かに甘酸味もあったかも。
黒っぽい沈着も随所に。
湯口の温度を測ってみると。。。
44.6度とH9の分析書と比べるとやや低い。
膜を張るようなしっかりとしたスベスベ感が心地よい![]()
ここで洗い場へ。こちらもほれぼれするような投入具合![]()
洗い場の湯口の温度を測ってみると。。。
40.1度とさらに低い。
あらかじめ冷ましているのか、加水しているのかはわかりませんでした。
訪れる前は手白澤温泉といえば露天風呂のイメージが強かったけれども、このある意味ダイナミックな内湯はすっかり気に入ってしまったのでした![]()
それでは露天風呂へ。
洗い場の横にあるガラス戸からすぐ行ける。
これが期待通りのシチュエーション。美しい露天風呂![]()
屋根などは全くなく、自然の中に美しく調和した岩風呂。
緑の中を凝視すると、奥に川が見えた。
鬼怒川の支流でしょう。
使用源泉は内湯と同じなのでそちらを参考に願います。
オーバーフローは浴槽に突き出した塩ビ管↑より排湯。
木をくりぬいた湯口からはまたもドバドバと湯が注がれている。
浴槽の温度を測ってみると。。。
39.5度と内湯より少しぬるく、これまたいつまでも入ってられそうな状況。
湯口をよく観察すると、メインの白い管の奥に黒い細い管も見える。
別のところから導かれていた↑。
湯口の温度を測ってみると。。。
46.1度と内湯よりも高めの温度。
そして白いパイプの出口すぐの温度も測ってみると。。。
51.0度と初めて分析書に近い温度が確認できた。
ということは内湯は温度を下げた状態で投入されていたのでしょう。どう下げたかはわからないものの。
そして別の場所から引き込まれた黒いパイプの温度も測ってみると。。。
23.3度。
これは加水なのかな。白いパイプの上で幾分温められてこの温度になったとか。
あるいは熱交換で源泉の温度を下げたものが投入されていたのか。。。この辺りはちゃんと確認はできませんでした。
まあ細かいところはさておき、極上の露天風呂であることは間違いなし![]()
内湯が激しく気に入ったとはいえ、この露天風呂もたまらない心地よさ。
何回も浴場を訪れ、何度も交互入浴をしたのでした。
日が暮れてから満天の星が見れるかと天気の回復を待っていたものの、しばらくは曇天でダメ。
夜の露天風呂は全く灯りを点けておらず、これは間違いなく空を眺めるための仕様。
諦めきれず夜中の3時頃に訪れたら、満天とはいかないものの少し星たちを見ることができました![]()
ぼくのカメラだと写真には納められなかったけれども。
夜の風呂といえば補足の意味でもう少し。
館内の照明も最低限。夜は暗いのが当たり前ということでよいでしょう。
ただし内湯はそこそこ明るかった。
この状態でも表の壁は開けっ放し。
虫や動物が入ってこないものかと心配(期待?)するものの、そんなことは無いみたい。
夜半でも快適に入浴できるのでありました。
手白澤温泉のお話はここまで。
皆さん、ヘタレのぼくでも到達できたので、未だの方はぜひ足が動くうちに訪れてみてください。
強くオススメしたい、魅力あるお宿でした![]()
このシリーズ次からは帰りの行程。
まずは奥鬼怒で立ち寄った温泉宿のお話。
手白澤温泉
栃木県日光市川俣870-2
0288-96-0156
一泊二食付 16500円+入湯税(時期と人数によって料金は変動)
<源泉名:兵次郎の湯>
単純硫黄温泉(硫化水素型) (低張性・中性・高温泉)
52.2度
pH6.9
成分総計 0.624g/kg
自然湧出
約300リットル/分
ほぼ無色透明~微白色ほぼ透明
淡コク硫黄臭あり
淡コクタマゴ味と微甘酸味あり
膜を張るようなしっかりとしたスベスベ感あり
消しゴムのカス状の湯の花多量
完全(加水?)かけ流し
2023年9月入湯
※数値は共にH9の分析表より








































