そんな匂いがしていたなんて、大変ショックだ。 | 旅館復活大作戦!!日本全国の旅館に、もっと元気になって欲しくて始めた ブログよ。

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わたしの今の一番の幸せは、恐ろしく地味だ。

 

 

 

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現在のわたしの一番の幸福は、我ながら恐ろしく地味なものだ。平日と変わらない時刻に目覚めた休日、洗濯機を回しながら居間でコーヒーを飲むこと。自分でもちょっとビックリするくらいささやかな幸福だと思う。でも、扉越しに洗濯機がゴウンゴウンと回る音をぼんやり聞きながら、熱々のブラックコーヒーをすする喜びはなにものにも代えがたい。

 

 

 

ここ1年ほどだろうか、コーヒーが妙に好きになった。以前は牛乳を入れないと飲めなかったが、ふと気が付くとブラック以外は飲めなくなっていた。コーヒーの何が好きかといえば、まずあの熱さだ。アイスコーヒーにはあまり用がない。淹れたてのやけどしそうな熱々のコーヒーをすするのが好きだ。とは言っても、味については、正直よく分からない。酸っぱいか苦いか、濃いか薄いか、くらいしか。そして、コーヒーの何が好きかって、やっぱりあの香りだ。本当は、コーヒーを飲んでいる時よりも、淹れている時の方が好きなくらいだ。

 

 

 

香りは記憶と直結しているとよく聞く。街中ですれ違った女性の髪から、昔母が使っていたシャンプーの香りがすると、今の自分よりもはるかに若い母親の姿がいきなり立ち上がったりする。

 

 

 

香り、もとい匂いの面白いところは、自分では自分の匂いに気づかないことがままある点だ。幼い頃、仲の良い友達がいたが、彼女の家の玄関は常に昆布の香りが立ち込めていた。一度彼女に、○○ちゃんのおうちの玄関はなぜいつも昆布の匂いがするのと尋ねたことがある。しかし、彼女は不審そうな顔で、昆布の匂いなんてしないよと答え、ぶどう味のアイスキャンディをしゃぶっていた。それを聞いたわたしも負けじと不審げな表情を作り、いや、絶対にこれは昆布の匂いだと、りんご味のアイスキャンディをしゃぶりつつ反論した。まぁ、子供のことなのですぐに飽きて「そんなことより『笑ウせえるすまん』のビデオを観よう」とすぐに話題は切り替わってしまったが。

 

 

 

幼い頃のわたしには分からなかったが、人は自分自身の匂いには気が付きづらいものなのだ。それは何も、本当の「匂い」ばかりではない。個人の人格や性質を指して「匂い」という例えを使うことがよくある。「あの人は悪の匂いがする」とか、そういうやつだ。

 

 

 

わたしは数年前からあるコミュニティに所属している。そこに、ひとり変わった人がいる。「変わった人」というくくりも雑だが、あの人を知らない人にまず彼女の概要を説明しようと思うと、やはりわたしの口からはその乱暴な言葉しか出てこない。何がどう変わっているのか、具体例を挙げられないこともない。でも、本当に自分の感性に素直に従って言うなら、彼女は周りの人とは「まったく違う匂い」がした。とても目立つ人なので、同じ空間にいると自然と目で彼女を追ってしまう。彼女の周りには、いつも独特の空気があった。そしてそれは、周囲と噛み合っているとは言い難かった。

 

 

 

ある時、そのコミュニティに何人か新しいメンバーが加わった。メンバー達と初めて会った際、わたしはその中のある女性に目が釘付けになった。ほんの一言、二言しか言葉を交わしていないにも関わらず、妙な確信があった。この人は、あの匂いがする。例の、周囲の人とは「まったく違う匂いがする」彼女と、ビックリするほど同じ匂いがする。

 

 

 

ほどなくして、そのふたりが仲良く話をしている姿をよく見かけるようになった。わたしが知る限り、例の彼女とあんなにもピッタリ波長が合う人間は、今までいなかった。なんとなく、納得してしまった。だって、同じ匂いがしたもんなぁ、と。当の彼女たちはどうだったんだろうか。お互いに、「自分と同じ匂いがする」とは思ったんだろうか。それとも、なんとなく馬が合うとだけ思ったんだろうか。そもそも、自分の匂いがどんなものか分からない限り、相手と自分が同じ匂いかどうかは分からない。他人には一発でその人の匂いが分かるけれど、こと自分の匂いとなると、やっぱり難しいのかもしれない。

 

 

 

そんなことを考えつつコーヒーをすすっていると、やがて洗濯機が洗い上がりを知らせてきた。洗濯かごを持って立ち上がった途端、スマホにメッセージがきた。遠い場所に住む友人からだった。数日前に、彼女とわたしの共通の知人であるSさんが、彼女の住む町へ遊びに行ったらしい。彼女と、SさんはSNSなどでつながっていたものの、会うのは初めてだったという。

 

 

 

「こないだSさんが遊びに来て思ったんですけどね」

 

 

 

と彼女のメッセにはあった。

 

 

 

Sさん。わたしよりいくつも年下だが、ほぼ初対面の相手に対して何の躊躇もなく「ウェーイ」と絡んでいく人物だ。Sさんは相手の懐に飛び込んでいくスピードが尋常でなく速くて、こころの壁を厚く築くタイプのわたしには、いささかきつい。簡単に言うと彼女は無礼なパーティーピーポーであり、礼儀を大切にする自分とは真逆の人間である。

 

 

 

「Sさんがどうかしましたか?」

「そっくりですね、安達さんと」

 

 

 

思考が止まった。持っていた洗濯かごを落としそうになった。続けざまにメッセージがきた。

 

 

 

「なんか、Sさんと安達さん、同じ匂いがします!」

 

 

 

ウソだろう、そんなわけがあるか。あんな無礼なパリピとわたしが同じ匂い? 何かの間違いだ。そもそも彼女が会った人物は本当にSさんか? 人違いじゃないか? 彼女が会ったのはまったく別の、大変礼儀正しい人物だったんじゃないか? しかし、「自分の匂いは自分では分からない」と噛みしめていた手前、猛然と反論するのは気が引ける。Sさんとわたしが同じ匂い……。自覚は全くないが、そうなのかもしれない。いや、全然認めたくはないが。

 

 

 

カップに残っていた冷めたコーヒーから、うっすら香りが立ち昇っていた。

 

 

 

fin

 

 

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