「日本の歯科技工士を救う会」の笑止千万 | クマゲロのブログ(熊谷宏)

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田舎の歯科医師が個人の立場で徒然に呟いています。

日歯代議員会の報告をぼちぼちしようかと思っていたところに、本日の日刊歯科通信を読んで、さすがにこれだけは先に投稿することとします。

 

日本歯科技工士会の社員総会で、日歯髙橋会長が挨拶し、

「日本の歯科技工士を救う会」を立ち上げる構想があるとおっしゃったようです。

 

「救う」という「保険は学問」とも共通する上から目線は置いておくとしても、

はっきり申し上げて笑止千万です。

 

つい数日前の日歯代議員会、

会長挨拶、そして歯科技工士養成校減少に対し日歯がリーダーシップをもって望むべきだ、との要望に、一貫して「まずは歯科技工士の考え方や思いを理解して舵を切る必要がある。われわれが勝手に想像して決めることではない。」と髙橋会長は消極的姿勢でした。

 

会場の代議員の先生がどのくらいご存知だったかはわかりませんが、

日本歯科技工士会、全国歯科技工士教育協議会、日本歯科技工士協会 のいわゆる技工士3団体は、令和6年5月30日に、日歯髙橋会長に、「令和6年度歯科診療報酬改定を踏まえた要望書」をだされています。

林副会長からは報告がありました。

 

https://nichigi.or.jp/news/detail.php?id=1241

 

 

ここには、今の技工士さんの思いがすべて詰まっています。

 

前回の代議員会から、髙橋会長は、「話を聞く」と連呼されていますが、これ以上なにを聞くのですか?いつまで聞くのですか?

 

技工士さんの思いは、

 

1;ベースアップ評価料等初再診料の引き上げを、院内技工士はもとより、外注技工料にもしっかりと反映するよう周知に勤めてほしい。

 

1:7:3告示もふまえ、技工料に関する算定根拠について、一定の見解を示し、周知してほしい。

 

この2つです。何十年も同じです。

 

これ以上なにを聞くのですか?

 

しかし、先日の日歯代議員会で、髙橋会長はこの要望書のことに触れないどころか、「ベースアップ評価料の新設を踏まえて、特に外注技工料への反映をお願いする」といった発言など、全くありませんでした。

 

「歯科技工士は大切だ、仲間だ」といいながら、外注技工料については、「補綴物の値段が上がることが必要」で、それ以上の発言はされません。

要するに、今の値段だと、技工料もそのままよ、ってことです。

 

よくもまあ、その数日後に、「日本の歯科技工士を救う会」だとか言えるものだと思います。

まずは、会員に対して、ベースアップ評価料の算定と、それを踏まえた、外注技工料についての技工所との話し合いを行うことをしっかりと伝えて、日技はじめて技工士関連団体との信頼関係を確立したうえで、歯科技工士の将来像についても、歯科医療の将来像なのですから、日歯がリーダーシップをもって、歯科技工士法の改正も含め進めていくべきだと考えています。

 

歯科技工士法の改正にいていえば、技工士さんは本当に疲弊しています。

今の時点で、日技としては、まさに要望書の実現が最大の課題であり、技工士法の改正にまで言及する余裕も無いのだろうと私は類推しています。

 

もう少しはっきりいえば、技工士法の改正により、院内技工士の働き方に幅がでて、院内技工士が増えるようなことになれば、個人技工所に就職する新卒者が減る、というご心配もあるものと思います。

 

だからこそ、日歯がリーダーシップをとって、技工料の適正化から始めるべきだと主張しています。

 

それにしても、「日本の歯科技工士を“救う”会」という言葉は、髙橋会長らしい言葉です。

 

https://nichigi.or.jp/news/detail.php?id=1241