診療報酬の地域別単価導入、「極めて筋が悪い」日医松本会長 | クマゲロのブログ(熊谷宏)

クマゲロのブログ(熊谷宏)

田舎の歯科医師が個人の立場で徒然に呟いています。

医師の世界で長く議論されてきた「偏在」の問題。
昨今、財政制度審議会で医学部定員の適正化の議論の中で再度注目されています。

その議論の中で、財務省が言い出したのが、「診療報酬の地域別単価導入」です。
医師の集中する都市部において単価を下げ、不足する田舎で単価を上げるというものです。

当然ながら日医松本会長は強く反発。「極めて筋が悪い」と。

ここで、歯科界に目を転じます。

歯科界では、医科とは反対に、国家試験を通常の資格試験に戻すべきだ(新規参入を増やすべきだ)との議論が行われていますが、この中で、日歯高橋会長は、「偏在」というキーワードを上げて、慎重な姿勢を示しています。

これは、非常に大きなテーマですが、まずやるべきは、医科における「偏在の議論の推移」をきちんと理解すべきだと思います。

そういう前提の元で、ここでは地域別単価に対する日医松本会長の対応に絞って考えてみます。

「極めて筋が悪い」というのはまさにそのとおりです。

日歯高橋会長も、おそらくこれからの挨拶でこれを取り上げ、さんざん批判されることだと想像します。

ここで、日医松本会長の批判の内容を見てみましょう。

1:公的保険制度では、誰もがどこでも一定の自己負担で医療が受けられることを理念としている。これを維持することが必要。

2:医療機関の分布は、「人口に応じて現在の形に落ち着いた」「人口分布の偏りに起因するものを、あたかも医療で調整させるようなもの」だ、と。

という流れです。

1:は至極真っ当な論理で、説得力もありますね。

私の注目したのは。2:なんです。

「人口に応じて現在の形に落ち着いた」というのは、要するに、「偏在は人口に応じた結果であり仕方ないことだ」ともとれます。
読みようによっては、爆弾発言ともいえるではないでしょうか。

ちなみに、私が地域別単価の話を聞いたときに真っ先に思ったことがあります。
そんなとき、ツイッター(X)で、全く同じ意見を見つけたので、引用しておきます。

https://twitter.com/JapanTank/status/1780589942068121695

結論は、
財務省がやろうとしてる「診療報酬で地方を上げて東京を下げて」ってのは、地方開業医にとってはウハウハになり、東京にいる息子医の都心生活費になるだけで終わる。
ということです。笑。

歯科には直接当てはまらない議論だと思いますが、2人の子供を医学部に行かせた親としては極めて興味深いのです。