古くて新しいジンガとブラジルサッカーのつながり-その1 | ロメロの言いたい放題

ロメロの言いたい放題

ブログの説明を入力します。

現代戦術から見る“実は古くて新しい王国”の凄み

史上最多5度のW杯制覇の実績はもちろんのこと、世界各地に選手を送り出しサッカー王国として名を馳せるブラジル。彼らが変わらず強くあり続けられる理由とは? 初のW杯優勝を飾った1950年代から現代に至るまで変わることのない独特の文化の潮流をたどってみましょう。

以前ににも書きましたが、私が1992年サンパウロ.FCへ留学した時からの疑問と驚きです。その当時日本では、4-4-2や3-5-2フォメーションが主流で、システムが確立していませんでした。横の動きだったり縦の動きだったり、そのフォーメーションの特徴を活かしたシステムの考え方はバラバラでした。所謂、形だけを海外から輸入してきたと同じです。

そんな時、サンパウロ.FCに留学した時の監督が「テレ・サンターナ」で、フィジカルコーチが「モラシー・サンターナ」でした。その当時日本では、マンツーマンDFが主流だった時代で、テレのゾーンディフェンスは画期的でした。そのシステムがCBと CBの間にボランチが落ちてくる「可変システム(サリーダ・デ・ラボピアーナ)」をみた時には、なんだこれはと言った驚きでした。また、フォーメーションも左右対称ではなくダイアゴナルに並ぶ「左右非対称(アシンメトリー)」の配置にも驚きました。

その当時感じたことは、ドリブルとパスが織り混じって、ドリブルからパスを繋ぐ時の立ち位置がいいことです。それは当然ですね?4-4-2で有ればパスを繋ぐ事に不向きなフォメーションのはずです。システム上横に動かなければパスを受けるには繋ぎにくいからです。しかし、左右非対称になっているフォーメーションがドリブルからパスを繋ぐにいい立ち位置になっているからです。

また、相手DFの背後を取る時の「ワン・タッチ(ダイレクト)パス」が非常に上手い。

そんな時に日系企業の「味の素」の支社長と出会いパーティーに招待された時に初めて「カポエラ」の実践を工場敷地内の芝生の上で見せてもらったのが「ジンガ」との出会いでした。現代戦術から古くブラジルサッカーの起源を探りたいと思います。

 

ジンガとは....

ブラジルのサッカーと言えば「ジンガ」である。

ジンガは格闘技カポエイラで用いられるステップだが、もっと深い意味を持つようになった。サッカーにおけるジンガは極意、思想、あるいはソウル?という人がいるがブラジル流に言えば「サンバ」だろう。

カポエイラ自体は、以前からブラジルにありました。黒人奴隷の間で広まっていった。アフリカから労働力として連れて来られた人々は、ダンスのふりをしてカポエイラのトレーニングをしていたと言われていて、ジンガはサンバのルーツという説もあります?

1892~1932年まで「カポエイラは禁止」されていました。

1888年5月13日に黄金法(Lei Áurea)によって奴隷制は廃止されたものの、その後も解放されたアフリカ系ブラジル人の元奴隷への差別は依然として続き、カポエイラは権力に抵抗する手段とみなされ、1892年から1932年まで禁止されていました。

権力に抵抗する手段とされたからです。左右に体を揺らしながら主に足技で攻撃する。掴みどころのない揺らぎを伴った動きから、トリッキーな足技を繰りだす。真正面から力づくで相手を制圧するのではなく、幻惑して意表を突く。踊るように、力を抜いて、相手を愚弄するように。反権力、反骨、抑圧からの解放――ブラジルサッカーの底に流れているジンガは、米国音楽におけるブルースと似ています。

ブラジルにサッカーがもたらされたのは他国と同じく英国からです。

当初は白人だけがプレーを許されていたが、ドイツ人とアフリカ系ブラジル人の混血だった「アルトゥール・フリーデンライヒ(Arthur Friedenreich)」の登場で流れが変わっていきます。1938年フランスW杯でのレオニダスの大活躍から、黒人選手が大きな役割を果たすようになりました。

映画「ペレ」では、ジンガがキーワードになっています。1958年スウェーデンW杯が舞台だが、戦術重視の白人的なスタイルとジンガを発揮する黒人的なスタイルの対立が描かれていて、主人公のペレはもちろんジンガ代表です。世間に認められず抑圧されていた「ジンガ」をペレがやるかやらないかという話になっていました。実際どうかはともかく、映画的にはわかりやすくしたかったのでしょう。ペレがジンガを始めると、ほうれん草を食べたポパイのように突然超人的な能力を発揮するのです。

ペレのジンガは神から与えられた才能への賛歌、父親との結びつき、差別への反逆、因習打破の気骨、そうしたものが混ぜこぜになったものとして描かれています。

しかし、日本では「ジンガ」を間違って理解していることが多過ぎます。間違ったことを指導者が子供達に伝えているから非常にやっかいです。

ロナルジーニョやネイマールの「フェイント」は非常にシンプルで、技術の軸は利き足あります。

日本の大人の小手先両足指導、ジンガドリブルなど、ブラジルでは一切やらないし、(それにジンガドリブルなどブラジルには存在しない)そんな練習を絶対にチームではやらない。ジンガドリブルと言って通用するのはレベルが低い相手だけです。基本のボールコントロール練習からやるしかありません。基本のボールコントロールがないのに、小手先の両足「フェイント」をやっていたら結局ゲームの中で悪くなるだけで、自己満足の低いサッカーで終わってしまいます。

目の前のボールをどれだけ正確にコントロールし、相手を交わしていけるか?その基本は、利き足の技術が一番重要だということを理解しなければならない。