ハリルを解任したブーメラン...日本代表「解任基準」を失った | ロメロの言いたい放題

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理解されなかった、ハリルホジッチの戦術的長所

私は、下記の様な考えからW杯でハリルの戦術を見たかった。その様なことを「京都のサッカー好きおじさん」とよく話す。ロシアW杯で西野監督では、ある程度の結果が出たように、私たち日本人は持ったに違いない。そして、次に選ばれた監督が「森保一」であった。さてその狙いは「日本人らしいサッカー」では、私たちは許さない。ハリルを解任に追い込んだ「本田圭佑」は、世界で戦えただろうか?オランダを皮切りに「ロシア」で活躍し、イタリアでは背番号10を背負いながら、名門「AC.ミラン」では出場機会に恵まれなかった。要するに名門に行けば行くほど、自分のサッカーを出来るのは「監督に認められた選手」だけだからだ。

ハリルの戦術は、相手チームを地道に分析して、罠に追い込む。ハリルホジッチの戦術的意図は、複雑ゆえにわかりにくく、万人受けするスタイルではなかった。

しかし、90分という試合全体をコントロールする組み立てにおいて、彼の能力が傑出していたのは事実です。アジアを出れば大半のチームが、格上という状況を考慮すれば、日本代表のサポーターも期待のレベルを明確化しなければならない。

彼の戦術的長所は、アルジェリア代表時代から変わらない「多様な戦術的パターンの使い分け」にあります。特に、守備組織を恣意的に動かすことによって相手の攻撃を誘導し、守備戦術の使い分けによって仕留める形は十八番です。イギリス紙『ガーディアン』に戦術分析を寄稿するマイケル・コックス氏が「守備戦術を巧みに使い分ける、極めて優秀な戦術家」と評するように、ハリルホジッチの戦術眼はずば抜けています。日本のサポーターは、この様なハリルをしらまかったと思います。有名人好み(ミーハー)の日本人には、理解し難い戦術家だと思います。

その複雑な戦術が、個々の戦術的な引き出しが多いとは言えない日本代表に合致するのか? ハビエル・アギーレの後を急遽継いだことで、準備期間は不足していないか? 個人的にハリルホジッチに抱いていた最大の不安は、そこにありました。

しかし、2017年8月31日のアジア最終予選・オーストラリア戦のパフォーマンスで、日本代表は見事な守備形態、守備戦術の使い分けを披露しました。

4-3-3のスタイルで、試合に入った日本を相手に、オーストラリアは両ウイングのポジショニングでセントラルMFを左右に引っ張り出す動きを狙う。ウイングが、3センターの片方を外へと誘導し、狙うはトップ下のロギッチ。それに対し、ハリルホジッチは、右サイドの浅野を中盤まで下がらせることで、4-3-3ゾーンを4-4-2ゾーンに可変させた。使えるはずのトップ下のスペースが、2ボランチに埋められ、左サイドでは高めの位置に残った乾がカウンターの起点となりました。

更に思うように攻撃が形にならないオーストラリアを相手に、ハリルホジッチはハイプレスを仕掛けます。守備から主導権を奪い、混乱に陥るオーストラリアを翻弄した。数試合前にポゼッション重視の3バックへと舵を切ったオーストラリアの分析も完璧で、期待を裏切らない内容だったと言えるだろう。

リトリートとハイプレスの使い分けは、基本的にどのような監督でも可能なことです。終盤でリードしていれば、交代選手としてDFを増やすことでシステムを変更することも珍しくはない。ただ、「あえてスキを作っておいてから守備戦術を変更し、90分の中で相手の読みを外し続ける」ことが可能な指揮官は希少であり、彼らのような監督は一発勝負の国際大会では結果を残しやすい。

一方、そうした戦い方は戦術的な練度を必要とすることもあり、数人の選手を試しながらの採用は困難です。同時に情報漏えいは致命傷になり得る。

上記の理由から、国際親善試合では、ハリルホジッチの最も得意な守備組織の使い分けと駆け引きは見られない。だからこそ、国際親善試合やE-1(東アジア選手権)の結果だけでハリルホジッチを評価すべきではなかった。「コツコツとチームを作り、親善試合の延長戦上にW杯を置く」タイプとは、明らかに異なるのです。

日本の戦力を冷静に考えた時に、レバンドフスキやマネのように「圧倒的な個人技で打開できるエース」が存在しないこともあり、「情報戦に強く相手の読みを外せる監督」は勝利の可能性を高める選択肢としては間違っていない。そう考えれば、ハリルホジッチのようなタイプの指揮官を理解する試みの方が足りなかったのかもしれない。