カタールの謎? 何故、カタール代表に帰化選手が多いのか? | ロメロの言いたい放題

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カタールの謎? 何故、カタール代表に帰化選手が多いのか?

カタール代表に帰化選手が多い理由の一つとして、

よくカタールの人口が挙げられます。

 

カタールの人口は271万人(2018年)。

しかし、そのほとんどが外国人労働者でカタール人は25~30万人しかいないと言われています。

 

30万人といえば、

日本で最も人口が少ない鳥取県の57万人(2015年)より少ない数字です。

 

そのため、どうしても帰化選手に頼らざるを得ないのが現状です。

 

因みに昨年のワールドカップに初出場して話題になったアイスランド代表。

国の人口は34万人だそうです。

アイスランド代表は2016年に行われたユーロでもベスト8という輝かしい成績を残しています。

 

カタール代表の未来へのヒントはアイスランドにあるかもしれません。

・カリム・ブディアフ(フランス出身。ルーツはアルジェリア&モロッコ)

・ブーアッラーム・フーヒー(アルジェリア出身)

・アルモエズ・アリ(スーダン出身。幼少期に家族とカタールへ移住)

アフィーフ(父はタンザニア、母はイエメン出身。彼自身はカタール生まれ)

 

 

 

●UAE戦での先発メンバー

GK 01 SAAD ABDULLA M E ALSHEEB(サアド・アルシーブ)

DF 02 PEDRO MIGUEL D D CORREIA(ペドロ・コレイア)

DF 03 ABDELKARIM HASSAN A FADLALLA(アブドゥルカリーム・ハサン)

DF 04 TAREK SALMAN S SALMAN(タレク・サルマン)

DF 23 ASSIM OMER A MADIBO(アシム・マディボ)

MF 12 KARIM BOUDIAF(カリム・ブディアフ/France

MF 14 SALEM ALI S S AL HAJRI(サレム・アルハイリ)

MF 16 BOUALEM KHOUKHI(ブアレム・フーヒー/Algeria

FW 10 HASAN KHALID H ALHAYDOS(ハサン・アルハイドス)

FW 11 AKRAM HASSAN A Y AFIF(アクラム・ハッサン・アフィフ/Tanzania

FW 19 ALMOEZ ALI ZAINELABDEEN M ABDULLA(アルモエズ・アリ/Sudan

Substitute player

GK 21 YOUSOF HASSAN MOHAMED ALI(モハメド・アルバカリ)

GK 22 MOHAMMED AHMED ALBAKARI(ユセフ・ハッサン)

DF 08 HAMID ISMAEIL H KHALEEFA(ハミド・イスマイル)

DF 13 TAMEEM MOHAMMED E S ALMUHAZA(タミーム・アルムハザ)

DF 18 ABDULKAREEM SALEM R A AL-ALI(アブドゥルカリム・アルアリ)

MF 09 KHALED MOHAMMED M SALEH(ハレド・モハメド)

MF 17 ABDELRAHMAN MOHAMED F M MOUSTAFA(アブデルラフマン・モハメド)

MF 20 ALI HASSAN A YAHYA(アリ・ハッサン・アフィフ)

FW 07 AHMED ALAAELDIN B M ABDELMOTAAL(アフメド・アラーエルディン)

Not Playing

DF 15 BASSAM HUSHAM A ALRAWI(バッサム・アルラウィ)

MF 05 AHMED FATHY M ABDOULLA(アフメド・ファティ)

MF 06 ABDELAZIZ HATIM A MOHAMED(アブデルアジズ・ハティム)

 

 

昔のように大物ブラジル人、フランス人、ウルグアイ人と言った

国籍を変更した選手はいないようです。

 

彼らは近年、国立の養成機関である

『アスパイア・アカデミー』出身の選手を登用することで目覚ましい躍進を遂げているが、

一方で、有名・無名を問わず外国人選手を帰化させることでチームを強化してきたこともまた事実です。

 

過去にカタール代表が帰化させた、

あるいは画策したものの実現しなかった“反則級”の外国人を紹介します。

セバスティアン・ソリア(Andrés Sebastián Soria Quintana)

ウルグアイのリヴァプールこと“AC.リーベル・プレート“でデビューした歴としたウルグアイ人だが、

2004年にカタールへ。

今でいうと「中東のカバーニ」というような選手で、

そのスピードと強力なフィジカル、決定力はアジアレベルを超越しており、日本からも2ゴールを記録しています。

35歳となった現在は代表から退いています。

出場123試合40得点はどちらも同国史上最多の記録となっています。

 

エメルソン・シェイキ(Emerson Sheik / Márcio Passos de Albuquerque)

40歳になるまでプレーし、昨年、現役を引退したエメルソン。

彼は10代(後に年齢詐称が発覚したが)の頃に来日し、Jリーグの札幌、川崎、浦和でプレー。

その全てのクラブで驚異的な得点力を発揮し、Jリーグ史上最恐・最狂外国人の一人と考えられています。

欧州でも成功するのではないかと思われたものの、若くしてカタールへ。

そこで帰化を勧められて代表デビューしたが、

彼は過去にブラジルのユース代表経験があり、FIFAは公式戦の出場を認めませんでした。

 

アイウトン(Aílton Gonçalves da Silva)

1990年代~2000年代にかけてブンデスリーガで活躍したブラジル人ストライカー。

およそサッカー選手とは思えないずんぐりむっくりの体型ながら恐ろしいほどのスピードと決定力を持っており、

特にカウンターから独力でゴールを奪うことにかけては天性のものがありました。

彼はブンデスの歴史に名を残す外国人だが国内での実績がなく、

また、素行などの問題を抱えていたことからセレソンに呼ばれず。

ドイツ代表入りも噂されたが実現はしませんでした。

そんな彼に対して声をかけたのがカタールだったが、

FIFAは同国でプレーしたことも居住したこともない彼に

国籍を与えて代表入りさせようとする行為を“悪質”と判断し却下しています。

 

 

 

決勝で戦うカタール代表のキーマン

決勝で戦うカタールのキーマンは4人。

この大会8得点目となった⑲アルモエズ・アリです。

右のスローインから23アシル・オメル・マディボを起点に繋いだパスは10本。

右から中、左、中、右とワイドに揺さぶり、最後は左サイドの綺麗なワンタッチのトライアングルのパスワークから⑪アクラム・ハッサン・アフィフのラストパスを受けた

⑲アルモズ・アリが鋭く中に切り込んで、左斜め45度から反対側ポストの内側を叩いてゴールネットを揺らしました。

 

まさしく組織と個の融合を象徴するゴールでした。

この⑲アルモエズ・アリを最大の得点源とするカタールには

3人の優れたチャンスメーカーがいます。

 

1人はUAE戦で⑲アルモエズ・アリのゴールをアシストした⑪アクラム・ハッサン・アフィフ

そして⑲アルモエズ・アリがあげた8得点のうち4得点を演出した、⑥アブデル・アジズ・ハテム

もう1人がキャプテンで10番を背負う⑩ハッサン・アル・ハイドスです。

 

ポゼッションからでもカウンターからでも、

必ずといっていいほど3人のだれかが絡み、

時に3人全てが絡んで⑲アルモエズ・アリなどに良質なラストパスが供給されます。

 

日本代表はもちろん戦前のスカウティングでカタールのスタイルをしっかり掴んで試合に入るはずですが、

可変性の高い組み立てや素早いネガティブトランジションからの

プレスなどは実際に試合に入ってみて選手が感じ取れる部分も大きいはずです。

 

ただ、結局はこの3人の危険なチャンスメーカーと

1人の傑出したストライカーがキーマンであることは

常に頭に入れて対処していくことが生命線になるでしょう。

 

 

 

カタール代表の強さ。アスパイア・アカデミーとスペイン流戦術の融合

カタール代表の強さのベースは大きく2つあります。

1つはクラブチーム並に整備され、精錬された組織力、

もう1つはアジア屈指と目されるタレント力です。

 

その二つが高次元に融合しているのがカタールの最大の強みと言えるでしょう。

 

組織力については周知の通り、

カタール代表は元スペイン代表のシャビなども指導に携わる

『アスパイア・アカデミー』を育成ベースとしており、

バルセロナやスペイン流の戦術や技術を教え込んでいます。

 

移民や帰化選手も積極的に招き入れており、

オンザピッチはもちろん語学などオフザピッチの素養も全て学ぶことができます。

 

フェリックス・サンチェス監督も元バルセロナのカンテラの指導者であり、

10年近くアスパイア・アカデミーの中枢で働いたのちに

U-19、U-20、U-23、A代表と上り詰めて現在に至っています。

 

いわば手塩にかけて育ててきた数世代の選手たちをまとめ上げているのであり、

選手たちの能力はもちろん性格や癖まで知り尽くしているのは大きな強みといえます。

 

 

 

カウンター最大の武器は二つのクラブの融合戦術

更にカタール代表は、9人が「アル・サッド」、

5人が「アル・ドゥハイル」所属の選手で組織され、

特にスタメンは基本的に⑥MFアブデル・アジズ・ハティム(アル・ガラファ)を除く選手が

この2クラブだけで構成されています。

 

アル・サッドは

FCポルトで3度のリーグ制覇を成し遂げ、

クアレスマやペペを一流選手に育てたことで有名な

マヌエル・フェレイラ監督が率いており、

アル・ドゥハイルは

長く“モウリーニョ監督の右腕”として知られた

ルイ・ファリアコーチが指導に当たっています。

 

そうした技術的、戦術的、組織的ベースを備えた選手たちは

アジアカップにおいても3バックと4バックを自在に使い分け、

「4-3-3」であれば中盤のトライアングルを試合の流れや相手との噛み合わせに応じて

逆三角形、正三角形、やや非対称にした形など、見事に可変させます。

 

実際UAE戦でも最初はザッケローニ監督率いるUAEが

高い位置からのプレッシャーではめ込んでいるように見えたが、

カタール代表は、すぐにポジショニングを調整して主導権を奪ってしまいました。

 

そして全体的にはボールを保持しながら、

いざ得点を取るときは研ぎ澄まされたカウンターが最大の武器になっているのが

カタールの怖さでもあります。

UAE戦の先制点もやや長めのカウンターでした。

 

ボランチの23アシル・オメル・マディボが右サイドのカバーからボール保持者を中に追い込み、

パスの受け手を挟み込んだところから、

最終ラインのカバーに入っていた⑪アクラム・ハッサン・アフィフが

素早いファーストパスを⑯ブアレム・フーヒに通すと、

右ワイドからゴールを決めました。

 

このシーンで面白いのは

UAEがセットプレーのカウンターを仕掛けてきた直後で、

一時的にFW⑪アクラム・ハッサン・アフィフが後ろでカバーに入り、

184cmのセンターバックである⑯ブアレム・フーヒが

ターゲットマンの1人として攻め残っていた流れから、

守備と攻撃の役割が入れ替わっていても、

なんでもないようにスムーズにボール奪取からファーストパス、フィニッシュまでやり切ってしまったことです。

 

基本的にFW、MF、DFというポジションはあっても、

『トータルフットボールの源流』を組む技術、戦術を学んできている選手たちならではのプレーと言えます。